ビジネスインテリジェンス専業のマイクロストラテジー・ジャパン(印藤公洋プレジデント)は、モバイルを活用した情報分析と意志決定を行う「モバイルBI」と、ソーシャルメディアの情報を活用してアクションを起こすことで顧客との関係を強化する「ソーシャルインテリジェンス」に注力している。

 マイクロストラテジーは、企業向けにiPhoneやiPad、Androidなどのモバイル端末を活用した分析アプリケーションを提供している。同社のモバイルBIの特徴は、単に情報を分析して結果を表示するだけでなく、その結果から、その場でデータベースへの書き込みや、既存の情報をアップデートし、例えば受発注システムの発注量を修正するなどのアクションを起こすことができるモバイル・トランザクションの基盤を提供していることだ。また、営業ツールとして、音声データやPDFなどを各端末に配信するマルチメディアのコンテンツ配信システムを備えている。

 いま、企業がFacebookをはじめとする実名性の高いソーシャルメディアを活用して、顧客との関係を深める「ソーシャルCRM」に力を注いでいる。Facebookは現在世界中で8億人の登録ユーザーがいるが、マイクロストラテジーは、個々に対して企業向けのソリューションを提供する。同社のセールスエンジニアリング&マーケティングの金翰新ディレクターは、「例えば、いま企業は自社ホームページの補助的コンテンツとして、Facebookにファンページをつくっているが、これをマーケティングのチャネルにすることができる」と効果を語る。

マイクロストラテジーセールスエンジニアリング&マーケティングの金翰新ディレクター

 Facebook上で友人や家族が「いいね!」をつければ、購買意欲喚起につながる口コミの確度が高くなる。企業は、この口コミを分析して顧客層を把握したり、商品やサービスを進化させたりしたいというニーズをもっている。 一方、ファンページに登録する顧客は、もっとSNSを楽しみ、自分が登録している企業やブランド最新情報やメリットを得たいという理由から参加しているはずだ。

 マイクロストラテジーのソーシャルインテリジェンス「alertソリューション」を利用すれば、ファンページに登録している「スーパーファン」の顧客に対して、個人に合わせた施策を打つことができるようになる。

 「alertソリューション」は三つのサービスから成り、すべてクラウド上から提供している。一つ目が、Facebookの「ファン」のデータを分析できるようにリレーショナルデータベース化する「Microstrategy Gateway」。二つめがファン分析と、傾向をカテゴライズする「Wisdom Enterprise Edition」。三つ目が、顧客が端末にインストールし、そこから個人最適化した企業のキャンペーンや最新情報を受ける「alertアプリケーション」だ。

 「alertソリューション」では、収集したファン基本情報に無記入が多い場合、他の情報から推察して情報を補填することで、マーケティングに役立つ情報に完成させる機能をもつ。「例えば、生まれた年の記入がない場合には、大学卒業年から逆算したり、私立の大学で広尾に住んでいたら『富裕層』、1年前に結婚したから『新婚』など、マーケッターが使えるように自動的に加工できる」(金ディレクター)。こうした仮説を活用しながら、企業は個人の嗜好にあった情報提供や、施策を打つことができるというわけだ。

 一方、顧客が端末にインストールする「alertアプリケーション」は、企業からキャンペーンや情報が届くだけでなく、登録した特定のブランドを追いかけるニュースリーダーになったり、イベントの開催場所を地図で表示したりなどの便利アプリとして利用できる。「alertアプリケーション」はホワイトラベルでも提供しているので、企業は独自ブランドでこのアプリを配布できる。

 このほか、各アプリマーケットでは個人向けにもアプリを提供。「Wisdom Personal Edition」は、Facebookの自分の友だちについて、分析することができるアプリ。また「emma」はFacebookをマーケットプレイスのように活用するアプリで、モノの売り買いやルームシェアの募集などさまざまな用途に使える。

「Wisdom Personal Edition」は個人向けに無償提供。Facebook上の「友だち」の傾向を分析できる

 マイクロストラテジーでは、直販でソリューションを販売するが、金ディレクターは「ゆくゆくはマーケティング部門に強いパートナーと組んで販売していきたい」と展望を語っている。(鍋島蓉子)