情報サービス産業協会(JISA)と中国の情報サービス業界団体の中国軟件行業協会(CSIA)は、「第17回日中情報サービス産業懇談会」を11月5日、都内で開催した。JISAからは国際交流を担当する岩本敏男副会長、CSIAからは副理事長の呂衛鋒氏(北京航空航天大学計算機学院院長)が参加。日中双方から120人を超える業界キーマンが一堂に会した。参加者は講演やパネルディスカッションなどを通じて日中両国の情報サービス産業の最新動向について相互理解を深めた。

JISAの岩本敏男副会長

 JISAの岩本副会長の講演では、「データ三階層」について言及した。人の活動や自然現象から発生する大量の「データ」のなかから取捨選択したものが「インフォメーション」。このインフォメーションを意思決定に直接的に役立つ「インテリジェンス」に高めた三つの階層から構成されると指摘。これから将来に向けて「AI(人工知能)がデータ三階層に基づいた意思決定を人間に代わって行う局面も増えていく」と、データ三階層やAIが企業や団体、国家の意思決定により大きな影響を与えるようになると話した。
 
CSIAの呂衛鋒副理事長

 CSIAの呂副理事長は、「日中の情報サービス産業の間で、もっと互換性を高められないかとJISAと意見交換をしている」と、日中の協業がより円滑に進む仕組みづくりに取り組む方針を示した。また、CSIA側の講演では中国国内の情報サービス業界にも触れ、世界のデジタルエコノミー市場のうち中国と米国を足し合わせるとすでに40%程度を占めるまで拡大していると、中国の役割が大きくなっていると指摘。一方で中国国内に目を戻すと、デジタルエコノミーが進んでいる地域とそうでない地域の格差が大きく、格差是正が課題になっていると話した。
 
「第17回日中情報サービス産業懇談会」の会場全景

 ほかにも、経済産業省の田辺雄史・情報産業課ソフトウェア・情報サービス戦略室長が、同省が進めているDX推進について講演。日立製作所の堀水修・社会イノベーション推進事業本部デジタルサービス本部本部主管理事・フェローが製造業オープン連携フレームワークについて話した。中国側からは大手SIerの東軟(ニューソフト)グループの陳錫民・高級副総裁兼COOをはじめ、業務アプリケーション開発の用友ネットワーク科技の郝偉明・副総裁、AIソフト開発のDATATANG(データタン)科技の斉紅威CEOが自社の取り組みや日本向けビジネスについて講演した。

 日中情報サービス産業懇談会は、2011年11月から外交上の理由などにより交流が中断していたが、昨年7月、7年ぶりに交流を再開。日本での会議開催は07年以来12年ぶりとなる。この間、日中の情報サービス・ソフトウェアビジネスは、中国でのオフショアソフト開発を軸としたビジネスから、中国国内市場やグローバル市場を念頭に置いた連携へと大きく変わってきている。(安藤章司)