週刊BCNは2月14日、松山市で「SIer・リセラー必見!有力商材で広がるITビジネスセミナー」を開いた。全国にパートナー網を拡大したいソリューションベンダーと各地域のSIer・リセラーとのマッチングの場を提供する週刊BCNの全国キャラバン企画の一環で、今年初の開催だ。識者がIT市場に関連する社会環境の変化を解説するとともに、法人向けIT市場で成長中の注目ベンダーが、SIer・リセラー向けに自社の最新技術・商材やパートナープログラムを紹介した。

 基調講演には事業構想大学院大学教授の渡邊信彦氏が登壇し、「Society5.0時代の地方創生、ITベンダーが知っておくべきこと」と題して講演した。デジタルトランスフォーメーション(DX)と同様にバズワード的に盛り上がった「Society5.0」をITベンダーの視点でどう捉えるかについて、「例えばAIとロボットとドローンを導入すれば実現できるということではない。人間の社会の仕組みがどう変わって、その中でITがどうあるべきかを考えないといけない」と指摘。さまざまなデータをオープン化して、つなぐことでデジタルツインを構築し、社会的なコストを多方面から下げられるようになり、住民にとって価値のあるスマートシティの実現にもつながっていくとした。さらに、参加者に対しては「ITビジネスではこれまでのように首都圏の顧客への提案のコピーを持ってくる手法は通用しない。課題解決型ではなく、新規事業的な課題発見型の取り組みが必要」として、ITベンダーが地方ごとの個別の課題を自ら掘り起こしてビジネスを構築することの重要性を強調した。
 
事業構想大学院大学教授の
渡邊信彦氏

 ソリューションベンダーセッションのセッションでは、ウェブルート エンタープライズ営業本部セールスマネージャーの橋爪雅和氏が「誰もが参入可能なSecurity as a Service - Webroot Managed Service Provide プログラムの紹介」をテーマにプレゼンした。同社はフルクラウド型のエンドポイントセキュリティサービスの提供とともに、クラウド上に構築した世界最大級の脅威情報データベースをさまざまなベンダーにOEM提供している。橋爪氏は、「脅威情報データベースをOEMで使っていただいているパートナーなども含めて広範なソースから脅威情報のビッグデータを収集してAIを活用して分析している。パートナーを通して多くのユーザー企業に導入していただいており、市場の信頼を獲得している」と説明。この脅威情報データベースはエンドポイントセキュリティにも生かされ、常に最新の情報を使った多層防御ができるという。さらに、マルチテナント対応のSaaS型の管理コンソールも提供しており、ウェブルート製品を使ってマネージド・セキュリティサービスを手がけたいパートナーを支援する環境も整えている。MSPやMSPのソリューションを再販するパートナー向けの制度も整え、「(パートナーは)ライセンスの再販ビジネスに比べて低解約率かつ利益幅が大きいストックビジネスが実現できる」とした。
 
ウェブルート エンタープライズ営業本部セールスマネージャーの
橋爪雅和氏

 アンラボ 営業部営業部長の宮本明氏は、「中小企業市場における『V3 Security for Business』の展開とアンラボのパートナー戦略について」説明した。1995年創業の韓国発セキュリティベンダーである同社は、韓国国内で65~70%のシェアを持つ。韓国国内の金融機関におけるシェアは特に高く、約8割にサービスを提供しているほか、日本でもパートナーを通じて66の金融機関に採用されているという。宮本氏は「韓国が地理的にマルウェアが多くつくられている国と隣接していることから、多くの情報を収集・分析して製品力の向上に生かすことができている」と製品の優位性をアピールした。日本市場で注力するのは、こうした技術・ノウハウを注ぎ込み、昨年10月にリリースしたエンドポイントセキュリティ製品「V3 Security for Business」だ。宮本氏は「クラウド型のセキュリティサービスであり、AIを活用したマルウェアスキャン機能やMDM機能、使いやすい管理コンソールを備えながらも低コストであるのが特徴。中堅中小企業では個人向けウイルス対策ソフトが非常に多く使われており、そうしたユーザーの乗り換え先として認知してもらうとともに、競合の法人向けセキュリティソフトのユーザーにとっても、アンラボに乗り換えていただくのに十分なメリットがある」と説明した。日本市場では、2022年12月末までに300社のパートナーエコシステムを構築し、3万社の法人顧客獲得を目指すという目標を掲げており、参加者にパートナーとしての協業を呼び掛けた。
 
アンラボ 営業部営業部長の
宮本明氏

 キヤノンITソリューションズ ソリューション推進部ソリューション推進1課課長の岡田知氏は、「『提案力』に差が出る!"ローコード開発"で大きな付加価値を」と題して講演した。岡田氏は近年のSI業界の状況について、「人口減少とリンクして労働人口やIT人材も縮小していく一方でIT市場は拡大していく傾向にあり、生産性向上を考えると開発手法の見直しが進んでいく。ビジネスニーズに応えたスピード感のあるシステム開発が必要になってくる」と指摘。SIerとユーザーの関係も、「これからは一方通行で言われたとおりにシステムをつくる関係ではなく、両者が一体となってつくっていく形になっていく」と説明し、こうした課題に対応するためのツールとして、ローコード開発ツールの存在感が増していることを解説した。同社のローコード開発ツール「Web Performer」は、累計納入社数が1200社に届こうとしており、この1年間で100社近くユーザー企業が増えた。「アプリケーションをつくるだけでなく、定義した内容を基にしたドキュメントの出力もできるし、テスト機能もあるので、設計、開発、テストの全部の工程をカバーできる」といったメリットが評価されているという。1月にはAWS上でWeb Performerを提供するクラウド版もリリースし、中堅中小規模のユーザー拡大も狙う。岡田氏は、パートナーになるSIerのビジネス変革も支援できる商材としてのWeb Performerの価値を強調した。
 
キヤノンITソリューションズ ソリューション推進部ソリューション推進1課課長の
岡田知氏

 主催者講演では、週刊BCN編集長の本多和幸が、法人向けITビジネスの技術トレンドやビジネストレンドなどについて取材情報を基に解説した。
 
展示されたレノボ・ジャパンの最新製品も注目を集めた

 また、会場では登壇したキヤノンITソリューションズのほか、レノボ・ジャパンが最新のオンライン会議ソリューションやIoT向けエッジデバイスなど法人向けの製品・ソリューションの展示コーナーを設け、参加者の注目を集めた。