富士フイルム(助野健児社長)の米国子会社で、iPS細胞の開発・製造・販売のリーディングカンパニーであるFUJIFILM Cellular Dynamics(FCDI)は3月2日、cGMP(現行医薬品適正製造基準)に対応した治療用iPS細胞の新生産施設「Innovation Facility for Advanced Cell Therapy(iFACT)」を、3月4日から稼働すると発表した。今後、i-FACTで生産したiPS細胞を用いて自社再生医療製品の開発を加速するとともに、同施設を活用したiPS細胞とiPS細胞由来分化細胞の開発・製造受託も展開していく。

治療用iPS細胞の新生産施設「iFACT」

 現在、FCDIでは、加齢黄斑変性や網膜色素変性、パーキンソン病、心疾患の領域で自社再生医療製品の研究開発を進めている。また、がん領域では米国有力ベンチャーキャピタルのVersantと設立した新会社Centuryで、他家iPS細胞由来のCAR-T細胞を用いた次世代がん免疫治療薬の開発を行っている。

 今回稼働するi-FACTは、開発ラボを兼ね備えた治療用iPS細胞の生産施設。大量培養設備だけでなく、少量多品種培養設備を導入している。さらに、FCDIがこれまで培ってきた世界トップレベルのiPS細胞の初期化・分化誘導技術や、富士フイルムがもつ高度なエンジニアリング技術・画像解析技術なども生産施設に投入することで、iPS細胞の高品質・高効率生産を実現する。

 また、他社との協業にも対応できる複数の開発ラボ(4室)や製造クリーンルーム(3室)を設置。各開発品に適した製造のスケールアップ・スケールアウトの技術開発を行い、製造ラインにスムーズに移管することで効率的な多品種生産を実現する。さらに、製造ラインに備えた品質評価室では、iPS細胞の品質を高精度に評価し高品質なiPS細胞を安定的に生産することができる。

 なお、i-FACTは、富士フイルムグループで治療に用いる再生医療製品の生産拠点としては、日本で初めて再生医療製品を開発・販売したジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)の本社工場に続き、2拠点目となる。