慶應義塾大学は7月9日、同大学経済学部の大久保敏弘教授が、新型コロナ感染症拡大の下での国内のテレワークと就業者の労働や生活、意識に関する研究を行い、コロナ禍での就業者の実態やテレワークの実態を明らかにしたと発表した。


 今回の研究は、NIRA総研との共同研究による就業者に関する調査(「新型コロナウイルスの感染拡大がテレワークを活用した働き方、生活・意識などに及ぼす影響に関するアンケート調査」)を用いたもの。研究によると、テレワーク利用率は今年1月から6月までに11%ポイント増加したものの、諸外国に比べて依然として利用率は低く、業種や職種、地域により違いが顕著であることもわかった。テレワークに不向きな業種ほど所得の低下が大きく、また日本企業や社会特有の構造的な問題も顕著となった。

 具体的には、テレワーク利用率の全国平均は1月には6%、3月には10%、緊急事態宣言の下での4~5月には25%まで伸び、その後、緊急事態宣言の解除後の6月には17%となった。緊急事態宣言の下で大きく伸び、6月には若干減少したものの1月時点より高く、テレワークはある程度定着してきたものと思われる。

 一方、都府県別に大きな違いがあり、東京では6月時点で33%と圧倒的に高く、次いで神奈川、埼玉、千葉と東京近隣が続いた。業種や職種別にも格差が顕著であり、情報通信業など情報関連の産業は高いテレワーク率で(46%)、飲食や宿泊業は低いことが明らかになった(5%)。

 また、1月から3月、6月と進むにつれて、テレワークを潜在的にしやすい業種のテレワーク率が伸びていることがわかった。テレワーク率の低い業種や職種ほど、テレワークに不向きな産業であり、同時に所得の減少も大きく、テレワークを画一的に推進するのには無理があることが浮き彫りになった。

 企業規模別にみると、従業員規模が大きくなるほど利用率は高くなり、500人以上の企業では31%にのぼり、5~29人の小規模企業は8%にとどまっている。