サイオス(喜多伸夫社長)は、グループ全社員を対象としてリモートワーク勤務を基本とする多様な働き方を加速させる。通勤定期券代の支給を停止し、出社するときは交通費を都度精算する方式に変更するほか、リモートワークでも公平な評価ができるよう人事評価の仕組みを改めるなど、新型コロナウイルスの影響収束後を見据えた改革に取り組んでいる。また、市場の変化により迅速に適応するため、10月1日付で国内主要事業会社3社を合併し、経営スピードを高める施策を実行している。

喜多伸夫社長(左)と東千晃執行役員

 同社はコロナ禍の前から働き方改革に向けた組織再編や人事評価の検討を進めており、縦割りのピラミッド型の組織を改めて、プロジェクトごとにメンバーを構成するフラットな組織体制を導入。「自立分散型」の組織へと変革した。多様な働き方の妨げになる定年制も廃止。コロナ前から取り組んできた一連の働き方改革が、「コロナ禍によって一段と加速した」(喜多社長)格好だ。

 評価制度では、会社と本人が選んだ複数の人物で査定を行う「360度評価」や、全社の戦略に沿って個々人が主体的に目標を設定する「OKR(目標と成果指標)」のフレームワークを導入。社員のキャリア開発を目的とした対話の機会を増やすなどしている。OKRは米グーグルが採用していることで有名。東千晃・執行役員経営企画担当は「外部の優れた人事評価の仕組みを積極的に取り入れていく」と話す。

 リモートワークの定着化と並行して、職務記述書(ジョブディスクリプション)に基づくジョブ型の評価制度を取り入れる動きが一部に見られるが、この点については「ジョブ型がうまく機能しないとチームワークを損なう恐れがある」(喜多社長)と慎重な姿勢を示す。従来のメンバーシップ型とうまく組み合わせた“サイオス流”の働き方を自ら創り出していくことが大切だとしている。

 事業会社の再編では、主力事業会社の旧サイオステクノロジー、Web戦略やUX設計などを手がける旧キーポート・ソリューションズ、ワークフローやクラウド認証サービスの旧グルージェントを統合。国内の事業会社は、実質的に新生サイオステクノロジーの一社のみとなる。コロナ禍で経営環境が大きく変わるなか、人的資源や知的財産、資金などの経営資源を集中し、経営のスピードアップを図ることが得策だと判断した。

 足元の業績を見ると、主力自社製品で高可用性クラスター構成ソフトウェア「LifeKeeper」の販売が好調に推移するとともに、OSS(オープンソースソフトウェア)関連商材やOSS関連のサポートサービスが増収になったことから、上期(今年1-6月)連結売上高は過去最高を更新。通期(2020年12月期)では前年度比4.5%増の143億円と10期連続の増収を見込む。(安藤章司)