ピー・シー・エー(PCA)は7月15、16の両日、パートナー向けのオンラインイベント「PPF 2021(PCA Partner Forum)」を開催した。注力中のストックビジネスをさらに進める考えを示したほか、来年2月のリリースを予定しているクラウド型の新しいドキュメントサービス「eDOC V2(仮称)」を中心に、周辺サービスを強化する「PCAHUB構想」の実現を目指す方針を明らかにした。
佐藤文昭社長
イベントの冒頭で、佐藤文昭社長は、2011年12月から使用していたタグライン「攻めるなら、経理から。」を、先月から「働く、が変わるとき。」に刷新したことを紹介。「PCAクラウドとPCAサブスクをはじめ、われわれの製品やサービスで、ニューノーマルの時代だからこそ業務システムの選択を自由に行いたいというお客様の要望に応え、バックオフィスをトータルにサポートし、ともに成長を目指す企業として『働く、が変わるとき。』を支援していきたい」とあいさつした。
玉井史郎・常務取締役事業本部本部長(中央)
続いて玉井史郎・常務取締役事業本部本部長が、直近のビジネスの概況などを説明。今年3月期(20年4月~21年3月)の売上高133億円のうち、PCAクラウドとPCAサブスクを軸としたストック収入は、目標値の55.8%を上回る57.2%だったと紹介し、順調に事業構造を転換していることを印象づけた。
ユーザーの離脱率を示すカスタマーチャーンレートも公開し、年間レートの平均が2.18%で、月次で異常値以外は0.2%となっているとし、「一般的には月次で3%未満だと極めて優秀といわれており、われわれの0.2%は極めて低水準だ」とアピールした。PCAクラウドの導入実績が先月で1万7000法人を突破したほか、パートナーへの還元額がこれまでの10年間で1333%増になったことも挙げ「引き続きパートナーの皆さんとストックビジネスで共創していきたい」と語った。
ストックビジネスをさらに前進させるために、同社が重要視しているのが今年12月31日でサポート終了を迎えるPCA Xシリーズの最新版への移行だ。玉井常務は「4月で約5万本のビジネスチャンスがあり、7月12日の状況では、おおむね20%強のお客様が新たなシステムに移行した。逆に言えば80%ほどのお客様が旧システムになっており、まだビジネスチャンスがある」と述べた。
移行は従来型のオンプレミス版のほか、PCAサブスクとPCAクラウド、今年4月に追加したPCAクラウド on AWSの三つのサブスクリプションサービスが選べるようになっている。玉井常務は「われわれが“サブスク三兄弟”と呼んでいるサブスクリプションサービスへの移行を推進をしていただくことで、離脱率が少ないストックビジネスをパートナーの皆さんと構築できる」と呼びかけた。
PCAHUB構想は「手に届く価格で手が届かなかった業務効率最適化」を提供することをコンセプトとしている。eDOC V2(仮称)は、Xシリーズにバンドルされている文書管理ソフト「eDOCX」の後継製品で、クラウド上で提供する。電子帳簿保存法などの法制度に対応し、パートナーのドキュメントサービスとの連携が可能な点が特徴だ。
製品の方向性では、PCAの既存製品を補完し、課題解決をサポートするサービスをインストール不要なWebアプリケーションで提供する。今のところ、業務のデジタル化やペーパーレス化を推進するサービス、蓄積されたデータを活用するための可視化・分析・AI連携などで、新しい価値を生みを出すサービスを想定しているという。
同社としては、顧客には、紙を起点に変革を進めてもらう考えで、PCAHUB構想を「デジタルトランスフォーメーション(DX)の入口」(玉井常務)と位置づける。佐藤社長は「既存の基幹業務のパッケージのラインアップを増やすより、より業務に密接なところでシームレスに連携できるサービスが追加できる」と話した。(齋藤秀平)