Sansanのデータ統括組織「DSOC」は、岩手県釜石市と名刺交換ネットワークデータを活用し、同市と他の市区町村間のビジネス上のつながりを可視化する「ビジネス関係人口」を分析する実証実験を開始した。

オープンシティ戦略の基本理念イメージ

 釜石市は、市の行政戦略として「オープンシティ戦略」を掲げている。今回の実証実験を通して、同市の他市区町村とのビジネス上のつながりの強さや名刺交換量の推移を数値データとして明らかにし、データを活用した行政の政策立案や決定に役立てることを目指す。

 DSOCはSansanのデータ統括組織として、蓄積された名刺データを分析・活用することで、企業の情報、人物の情報、人と人のつながりの情報など、ビジネスシーンで活用できる「価値ある情報」を生み出している。昨年10月には、DSOCのビジネスネットワークのデータと分析能力を生かし、EBPM(証拠に基づく政策立案)を後押しするEBPM支援室を開設し、行政向けにエビデンスの蓄積を支援している。

 ビジネス関係人口は、名刺アプリ「Eight」の名刺交換に関する統計的データを基に、ビジネス上の観点から「関係人口」に関する分析を行ったもの。Eight上で、ある市区町村の名刺を取り込んだことがあるユーザー数を集計し、当該市区町村の一人の労働者が、どのくらい多く名刺交換をしているのかを可視化した。今まで分からなかった、市区町村のビジネス観点からの他市区町村とのつながりの強さを可視化できるようになる。

 釜石市では多様な人材が還流し、新たな事業機会や市民活動が生み出され好循環となることを目的とした「釜石市オープンシティ戦略」を15年に策定。17年には「SDGs(持続可能な開発目標)」の視点も盛り込み、同戦略実現に向けた取り組みを推進している。

 DSOCは、これらの取り組みを統計処理された名刺交換データを元に、データ的な裏付けの観点から支えていく。具体的には、「ビジネス関係人口定期レポートを送付・議論」「最新のビジネス関係人口の推移」「ベンチマーク自治体との比較」「近隣自治体との比較」「類似自治体との比較」「関係の強い・弱い業界の把握」「その他のデータ可視化」などの取り組みを実施する予定。

 今回の実証実験を通して、釜石市の企業の名刺交換データのトレンドを分析し、ビジネスの観点で有効であった行政の施策の発掘、裏付けに貢献する。また、関係の強い業界、弱い業界を名刺交換のネットワークから分析することにより、エビデンスに基づいた行政判断を後押しする。

 なお、実証実験の結果は年度内に成果発表を行うことを計画している。