KDDIがドローン事業の地盤固めを進めている。同社は2月15日、日本航空(JAL)と協業し、空のドローン運航管理を強化することを明らかにした。JALの航空安全技術をKDDIの運航システムに適用し、ドローンの衝突回避など安全な飛行環境を構築する。2022年にドローン飛行制約を緩和する法施行(レベル4飛行)が予定されていることから、KDDIの松田浩路・執行役員事業創造本部長は「レベル4飛行を起爆剤と考えている」と長期的な事業拡大に意欲を示した。
JALの西畑智博・常務執行役員(左)、KDDIの松田浩路・執行役員(中央)、
KDDIスマートドローンの博野雅文社長
今年1月、KDDIはドローン事業を継承する連結子会社「KDDIスマートドローン」を4月1日付で設立すると発表済み。24年度にはドローン関連事業全体で売上高100億円を掲げており、新たにJALと協業することで事業を加速する。KDDIは大手企業などとの窓口をKDDI側の部門が担当しながら、KDDIスマートドローンと連携する方針だ。
KDDIの松田執行役員は「昨年度のドローン事業の売り上げは約8億6000万円。今年度はおよそ倍増する見通し」と手応えを感じている。民間研究所の調査も引用し、国内のドローンサービス市場が20年度の828億円から25年度には4361億円と、約5.3倍に拡大するとした。
ドローンを手動で操縦する従来の制約が外れ、遠隔操作の自律飛行を解禁するレベル4飛行により、物流や警備、監視、点検、農業領域などでドローン市場の活性化が見込まれている。JALの西畑智博・常務執行役員デジタルイノベーション本部長は「短期的には離島地域におけるドローンのビジネスモデル、中長期的にドローンの運航管理や空域管理の制御を行う体制を検討するなどして、ドローンの社会インフラ化に貢献したい」と展望を語った。
KDDIスマートドローンの博野雅文社長も「安全な運航管理を構築してドローンの未来をつくっていきたい」と意気込みを見せた。月額4万9800円(税込み)でドローンの遠隔運用に必要となる通信、運航管理、クラウドをパッケージとして提供するサービスにも力を入れる。(山越 晃)