KDDIは2023年春をめどに、タイ・バンコクで、インターコネクション(企業間の相互接続)データセンター(DC)を新設する。エンドユーザーを抱える通信事業者と、クラウド事業者やコンテンツプロバイダーを結ぶDCとなる。同社によると、タイのトラフィック成長は著しく、DC市場拡大への期待は大きい。同社はDC事業を成長領域に位置づけており、タイを足がかりに東南アジアでの事業展開を加速させる。
新設するDC「TELEHOUSE Bangkok」は、延べ床面積約9000平方メートルで、タイ国内通信事業者の主要ネットワーク設備を設置する。4ルートからの回線引き込みによって、災害時などにも通信を維持できる高い冗長性を持たせた。現地では数少ないキャリアニュートラルのDCとして提供される。投資額は約100億円で、現地法人も置く。
タイはネットバンキングやモバイル決済の普及率が高く、トラフィックが急成長している。ただ、東南アジアにおけるクラウドサービスの拠点はシンガポールにあり、タイでは遅延発生や回線コスト上昇などの課題があるという。同社によると、メガクラウド事業者によるタイ進出への動きも見られ、インターコネクションDCへのニーズはさらに高まっていく見込みだ。
丸田 徹 執行役員
同社執行役員の丸田徹・サービス企画開発本部副本部長は、リッチコンテンツの増加に伴い、東南アジアでもトラフィックの集積拠点が各国単位となっていくとし、「よりエンドユーザーに近い場所に拠点が必要となる。われわれは、その第一歩をタイで踏み出す」と話した。
同社はTELEHOUSEブランドで、DC事業を世界10カ国以上、45拠点以上で展開。DC事業は同社が掲げる「NEXTコア事業」において、ビジネスを支える事業基盤サービスの牽引役として、期待されている。
(藤岡 堯)