独チームビューワーの日本法人TeamViewerジャパンは3月17日、ビジネス戦略記者説明会を開催し、2022年は中小企業のDX推進に注力する方針を示した。製品提供に加え、新たにコスト削減などにつながるコンサルティングサービスの提供を計画しており、両輪で支援を強化する考えだ。
西尾則子 カントリー・マネージャー
西尾則子・カントリー・マネージャーは、18年に日本オフィスを開くまでの間、インサイドセールスとウェブショップで製品を販売し、多くの中小企業に導入、活用してもらったことを示し「中小企業の市場は、われわれにとって非常に重要」と述べた。
中小企業の市場は同社のビジネスの中核を占めているものの、デジタルトランスフォーメーション(DX)の観点では、大企業に比べて遅れている現状がある。同社が今年1月下旬、主に製造と建設、鉄鋼の各業種に従事する25~69歳の男女588人を対象に実施した調査では、デジタル化が「進んだ」と回答した割合は、大企業が64.87%となった一方、中小企業は27.18%にとどまった。
コスト削減や業務効率化、付加価値向上、事業構造変革の点でも中小企業は大企業よりも取り組みに遅れが目立っている。西尾カントリー・マネージャーは「中小企業では、付加価値向上や事業構造改革までを見据えたデジタル化の推進自体が課題」と紹介し、中小企業のDX支援を強化する必要があるとの見方を示した。
中小企業のDX支援では、既存顧客へのDX関連製品の提案に注力する。新たに提供を予定しているコンサルティングサービスについては、顧客の業務に合わせた製品・サービスの効果的な活用方法や、新たなサービス開発の提案などを想定している。価格については、中小企業でも利用しやすい金額に設定するという。
パートナービジネスにも引き続き力を入れ、パートナーとの共同プロモーションやソリューションの開発、SIerなどのOT(オペレーショナルテクノロジー)パートナーとの協業推進に取り組む。パートナーがエンドユーザーにコンサルティングサービスを提供できるようにするため、今年後半をめどに教育プログラムを立ち上げる計画もある。
同社は、20年後半にパートナープログラムを開始し、昨年はOTビジネス向けのパートナープログラムもスタートした。21年度のパートナープログラムの登録社数は20年度の56社から144社に増加した。22年度は200社の登録を目指す。
このほか、得意とする製造業の領域では、今年2月に新設した名古屋オフィスを軸に、自動車関連を中心に製造業が集積する現地のニーズへの対応や、西日本の顧客との関係強化を進めるとした。製品トレーニングや製品組み込みにおける技術支援などのプロフェッショナルサービスも注力領域として位置づけた。
一方、ビジネス開発部の小宮崇博部長は、現在の製品ポートフォリオについて、ITとOTのサポートに加え、最近はAR/MRによるサポートなど、現場の効率化を支援する製品やサービスを拡充していると説明。今年はチャットボットやセキュアブラウジングサポートなど、販売の部分で活用できる製品やサービスの投入を視野に入れているとした。
(齋藤秀平)