ウイングアーク1st子会社のtraevo(トラエボ)は、今年9月から運輸業界向けの車両動態管理サービス「traevo」を始める。トラックなどの車両の位置情報を運送事業者や荷主などと共有するサービスで、複数メーカーの車載機器に対応しているのが特徴だ。これまでは“今自分がどこにいるのか”の位置情報を電話やチャットといった人手による情報共有が多く、手間がかかっていた。「traevoを使うことで位置情報の共有が自動化され、運転手の負担が軽減される」と、鈴木久夫社長は話す。
鈴木久夫 社長
traevoサービスは運輸業界の有志によって2016年に設立された運輸デジタルビジネス協議会のワーキンググループの成果物の一つ。帳票作成ソフト開発のウイングアーク1stにとって運輸業は主要な顧客層の一角を占めることから協議会の事務局を務めてきた。今回のtraevoの立ち上げではウイングアーク1stの子会社に運送会社や車載機器メーカーなど11社・団体が出資するかたちでスタートしている。
所属会社によってGPSやタコメーター、ドライブレコーダーの車載機器の種類が異なり、データの互換性に課題があった。traevoでは、車載機器のAPIを利用して複数メーカー間でのデータ共有を可能にしている。すでに類似サービスが複数存在しているが、「既存のサービスとも連携を進めて、ユーザーが使いやすいサービスに仕上げる」(鈴木社長)考え。
この4月から試験運用を開始し、本サービスでは1車両あたり月額1000円程度で利用できるようにする。2025年までに事業用トラックの14%に相当する20万台の利用を見込むとともに、将来的には運送業界の協調可能な領域でのデータ共有のプラットフォームになることを目指す。
(安藤章司)