ヴイエムウェアは年次イベント「VMware Explore 2022 Japan」を都内で開催し、来日した米国本社のラグー・ラグラムCEOが記者会見を行った。ラグラムCEOは「あらゆる企業が“デジタルスマート化”に取り組んでいる」とした上で、多くの企業ではさまざまな要因で変革が進んでいないと指摘。同社の技術によって複数の環境を一貫性のあるITインフラとしてまとめ上げることで、アプリケーションの投入・更新スピードを加速し、ビジネスのデジタル化を推進できるとした。
米VMware ラグー・ラグラム CEO
ラグラムCEOは、企業のデジタル変革を阻む要因として「開発者のスキル不足」「エンタープライズアプリケーションの比重の大きさ」「運用とセキュリティの断片化」の3点を挙げた。クラウドに精通したエンジニアは必ずしも多くなく、既存の基幹システムのクラウド化は容易ではない。社内外のIT資産を分けて、社内側を守る境界型のセキュリティ対策も有効ではない。多くの企業がクラウドファーストを掲げて導入を進めているが、現状ではITインフラのサイロ化・断片化を招く方向に進んでいるとし、この状況を「クラウドカオス」と呼んだ。
ラグラムCEOは、同社はクラウドカオスの段階にある企業を「クラウドスマート」の状態に引き上げるための技術を提供するとして、仮想マシンとKubernetesベースのコンテナの両方に対応するプラットフォーム「Tanzu」を示したほか、今年8月に発表したマルチクラウド管理ツールの「Aria」を紹介。Ariaを利用すると、パブリッククラウドを含む複数の環境について、アプリケーションとそれが動作するクラウドやリソースの関係をリアルタイムで可視化できるという。Ariaには、AWSまたはAzureに対応した無償版を用意しており、希望するユーザーには11月末から提供を開始する予定。
(日高 彰)