日本IBMは4月4日、メインフレームの新製品を発表した。2022年に発売した「IBM z16」と「IBM LinuxONE」に、新たにシングルフレームとラックマウントの両モデルをそれぞれ追加する。新モデルは、高まっているハイブリッドクラウドの需要に対応できる設計が特徴で、環境性能の向上を実現。ITインフラとしての選択肢を広げ、より幅広い事業規模の顧客への導入を目指す。いずれも5月17日に出荷を開始する予定。
新モデルは、AI専用エンジンをチップ状に搭載した「IBM Telumプロセッサー」など、既存モデルの能力を踏襲。製品のポートフォリオを広げることで、小規模事業者も含めて幅広い顧客のニーズに対応できるようにした。
顧客が導入を検討する際、サステナビリティーの観点が大きな評価要素になっているとして、環境面にフォーカスしたことを製品の優位性として提示。欧州での導入事例では、消費電力の削減により、温室効果ガスの排出量を70%削減できたと紹介した。渡辺卓也・執行役員メインフレーム事業部長は「新モデルはこれまでの進化の中でも、さらに攻めの姿勢を示した」と話した。
ラックマウントモデルは、データセンターでスペースコストを削減したいという顧客の声に対応。自由に配置を決められるため、温度管理が最新化されているデータセンターの環境にも対応できる点を強みの一つとして示した。
追加モデル発売によるメインフレームの新規導入のシナリオについては、新興国などで新たなシステム構築が必要な場面を想定しているという。国内などの既存顧客向けには、台数規模を集約することで、省スペースのほか、温室効果ガスが削減できることをメリットとして訴求する考えだ。
渡辺卓也 執行役員
メインフレーム事業の継続性について、渡辺執行役員は、ハイブリッドクラウドを導入する企業が増える中、安定性などを理由に改めてメインフレームの需要が高まっているとし「(メインフレームは)多くのお客様に使っていただいている社会基盤。社会に安心・安全をお届けする事業として今後も新しい製品を長く継続的に提供していく」と説明。2030年代までを見据えたロードマップも紹介した。
(堀 茜)