独SAP(エスエーピー)はクラウド領域におけるカスタマーサクセス支援に注力している。2022年には約2万2000人を擁するクラウドサクセスサービス(CSS)事業本部をグローバルで設置。SAPジャパンも700人規模の組織を有しており、SAP製品の活用促進や拡張に関する取り組みを通じて、顧客の継続的なビジネス成長に貢献している。今秋には複数の新サービスの提供を開始し、さらなる充実を図る。
堀川嘉朗 常務執行役員
9月14日にSAPジャパンのCSSに関する説明会が開かれた。常務執行役員の堀川嘉朗・クラウドサクセスサービス事業本部長は、日本市場におけるCSSの戦略として▽カスタマーバリューの実現▽CSS自身の変革▽スケーラブルなサービス─の3点を提示し、顧客の成果を追求する姿勢、人員の能力向上、パートナーリソースやグローバルの知見を含めた多様な方法でのサービス提供などを重視するとした。
新サービスについては、クラウド製品の活用促進や要員育成を下支えする「SAP Preferred Success」の「Expanded Edition」を9月に投入。SAP側のエキスパートによる技術支援、新機能のPoC支援などを用意した。加えて、運用保守の「SAP Cloud Application Services」の内容を拡充するほか、拡張開発ソリューションの「Cloud Service Development」の訴求も進める。
10月には最上位サポートの「SAP MaxAttention」に新サービスの「North Star」を追加する。SAPのすべてのポートフォリオを対象とし、ビジネスとITの両面から変革に向けたロードマップ作成を支援する。
パートナーに対しては、認定資格の取得などの支援策を展開していく。堀川常務執行役員は「パートナーはお客様ごとの知見を有している。それを最大限に活用していただくお手伝いをしたい」と述べた。
説明会では、ユーザー企業として旭化成が「ECC6.0」から「S/4HANA」への移行を果たした事例を紹介。システムのスリム化などにより、アドオンを約2400本から約1100本へと半減できたという。同社の寺田秋夫・執行役員BTプロジェクト担当は、移行を成功させるにはSAP、パートナーとのコミュニケーションが重要になると指摘し、それぞれの立場・役割を明確にした上で「全員で一つのプロジェクトを進めていく」という意識を持つことが大切だとした。
(藤岡 堯)