SAPジャパンは3月22日、データ管理ポートフォリオの新製品「SAP Datasphere」を発表した。既存の「SAP Data Warehouse Cloud」ソリューションの次世代版となり、分析モデルを構築するためのモデリングの仕組みやデータカタログ機能などを充実させた。よりビジネス部門のユーザーのデータ利活用に軸足を移した製品とし、データマネジメント領域における現場主導型ビジネスを支援する考えだ。

　SAP Datasphereは、SAPの各種システムやサードパーティーのクラウドサービスなどからのデータ連携、リモートテーブル作成、モデリングによる統合、要件に対応した加工などの環境を提供する。

　モデリングについては、IT部門だけでなく、ビジネス部門のユーザーがデータモデルやデータの中身を共有しながら、ビジネス要件に沿っているかを確認することが可能となった。データカタログ機能では、KPIやビジネス用語とデータを紐付けるなどして、ガバナンスの強化が図れる。
 
　ビジネステクノロジープラットフォーム事業部の岩渕聖・事業部長は、SAPのデータ管理製品のコンセプトが「ビジネスデータファブリック」であると説明。一般的なデータ管理では、複数のデータソースからデータを集約・加工・成形する過程で、本来データが持っていたコンテキスト（意味合いや背景）が損なわれるケースがあるが、SAPはデータ仮想化テクノロジーなどを活用し、コンテキストを保全したままでのデータ利用を可能としている。

　岩渕事業部長は「単純にデータを持ってきて、表示するだけではなく、ビジネス的な意味合いを持たせて加工し、ユーザーに届けるということがコンセプトの中心だ」と強調した。
（藤岡 堯）