SB C&Sと米Supermicro(スーパーマイクロ)は9月28日、国内におけるGPU搭載サーバー製品の普及拡大を目的に、GTM(Go To Market)戦略における協業に合意したと発表した。生成AIへの注目が集まる中で拡大するGPU需要を取り込み、SB C&Sの販路を通じたスーパーマイクロ製GPUサーバー製品の拡販を目指す。SB C&Sの伊藤孝太・執行役員は「GPUサーバー市場は今後拡大していく。協業を通じて市場を先取りすることで、販売パートナーに(GPUサーバー市場では)当社と組むべきだと思ってもらえるようにしたい」と力を込める。
(岩田晃久)
伊藤孝太 執行役員
今回の協業では、米NVIDIA(エヌビディア)のGPUを搭載したスーパーマイクロ製サーバー製品の販売強化を図る。SB C&Sとスーパーマイクロは共同のタスクチームを設立し、営業やマーケティング、保守サポート体制の強化に取り組む。
SB C&Sは以前から、スーパーマイクロとディストリビューター契約を結び、国内で製品を販売してきたが、伊藤執行役員によると「通常のサーバーとして販売するケースが多かった」という。近年、生成AIの分野が大きな注目を集めており、SB C&SでもGPUサーバー納入の案件が増加していることから、スーパーマイクロとの間でGPU搭載製品に関する協業を強化することで、販売を伸ばす狙いだ。
伊藤執行役員はスーパーマイクロのサーバー製品について、「構成や冷却機構などがエヌビディアのGPUに対して最適化されている」と説明する。GPU搭載サーバーとしてはエヌビディア自身もアプライアンス製品の「DGX」シリーズを用意しており、SB C&Sもこれを取り扱っているが、スーパーマイクロのサーバーは、カスタマイズ可能な領域がより広く、ユーザーが求めるスペックを最適なコストで提供できるのが特徴という。
新たに設立するタスクチームは、SB C&Sとスーパーマイクロのそれぞれから、GPUサーバー製品を含むITインフラ環境の構築に精通したメンバーで構成する。「当社の技術部門は、GPUに対しての知見が足りない部分があった」(伊藤執行役員)ことから、SB C&Sはスーパーマイクロの米国本社にSEを派遣し、GPUに関するスキルやノウハウを得る機会を設けた。また、提案・導入段階で必要となる製品知識のみならず、国内でサーバー製品を販売していく上で重要となる保守サポートの体制を整えるなど、今後も技術面の強化を図っていく。加えて、国内でのスーパーマイクロの認知度拡大を目的にさまざまなマーケティング施策にも取り組むとした。なお、タスクチームは10月以降に本格的に活動を開始する予定だ。伊藤執行役員は「タスクチームを通じて、GPUサーバーを従来のIAサーバーと同じように売れる仕組みをつくっていきたい」と展望する。
現在、GPUサーバーの利用は、AIの開発に取り組む学術機関や大学、一部の大企業での利用が多いという。生成AIの登場によって今後は、大手製造業や流通業、GPUクラウドサービスの提供を目指すデータセンターなど、さまざまな場面でGPUサーバーの利用が進むと見込んでおり、SB C&Sの全国に広がる販売網を生かして導入拡大を目指す。
顧客がサーバーを導入した後の活用を加速するため、AIモデルの構築や運用を支援するエヌビディアのソフトウェア製品「NVIDIA AI Enterprise」などを用いた、付加価値の高い利用の仕方も提案していく。