日本オラクルは11月10日、都内の本社で、ガバメントクラウドや官公庁・自治体システムのモダナイズに関わるパートナーを対象にしたセミナーを開催した。デジタル庁ガバメントクラウドチームの西村毅・クラウドアーキテクトが講演し、ガバメントクラウド移行の狙いについて「日本の公共システムを『イケてるシステム』にしたい」と強調。とりわけ自治体においてはパッケージアプリケーションのSaaS化が重要になると指摘し「標準化された自治体パッケージがガバメントクラウド上でサービスとして提供されれば、自治体はシステム構築や運用などの負荷から解放される」と訴えた。
セミナーはガバメントクラウド移行支援に向けた情報提供などを目的とし、10月19日の札幌を皮切りに全国8都市で開催され、東京が最終会場となった。
日本オラクルの本多充常務執行役員(左)とデジタル庁の西村毅クラウドアーキテクト
会場では西村クラウドアーキテクトと、日本オラクル常務執行役員の本多充・クラウド事業統括・公共・社会基盤営業統括による対談も行われた。本多常務執行役員がクラウドベンダーやパートナーなどに期待することをたずねたのに対し、西村クラウドアーキテクトは「CSPにはガバメントクラウドを前向きに捉え、建設的に競争していただき、発展・進化してもらいたい」と激励した。アプリケーションベンダーなどのパートナーに向けては「CSPのサービスを使い倒して、最先端のすごいアプリケーションを作ってほしい」と呼び掛けた。
続けて、自社パッケージアプリのクラウド化基盤にOCIを採用したジーシーシーとRKKCSの担当者がそれぞれ自社のガバメントクラウド対応への取り組みや、OCIを選んだ要因などを説明した。両社で共通する見方として、OCIは競合と比較して、サービスの種類は少ないものの、両社が提供するシステムを安定稼働させるための機能面では大きな差がなく、コスト面ではOCIに大きなアドバンテージがあるとした。
システム標準化の目標の一つに、情報システムの運用などに関する経費を2018年度比で少なくとも3割削減することが掲げられていることから、両社の担当者は、現在の利用料の維持を求めた。このほか、日本オラクルのガバメントクラウド移行支援に関する取り組みや、パートナープログラムの現状なども紹介された。
全国でのセミナーを終えて、日本オラクルの細野彰則・クラウド事業統括デジタル・ガバメント推進部部長は「(2月に開催した)前回よりも参加者は少ないかと思っていたが、ほぼ全会場が満席となった。前回よりも具体的な内容を伝えることができ、(会場からの)質問の質も高まっていた。大きな手応えを感じている」と振り返った。
パートナーからOCIのコスト面での優位性に着目する声が上がったことに関し、本多常務執行役員は「後発であるがゆえに、構造的に圧倒的に安くできる。その強みを丁寧に説明していきたい」と話した。
(藤岡 堯)