日本オラクルは7月6日、2024会計年度の事業戦略説明会を開き、三澤智光社長は重点施策として「日本のためのクラウドを提供」「お客様のためのAIを推進」の2点を紹介した。前年に引き続き、日本のレガシーシステムのモダナイズに向けて注力するとともに、自社が展開するソリューションへのAI導入、「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)によるAI開発支援も促進し、技術進化の恩恵を多様なユーザーが享受できるようにする方針だ。
「日本のためのクラウドを提供」の具体的な取り組みについては、顧客のデータセンターにOCI環境をIaaS、PaaS、SaaSの全レイヤーで構築する「Dedicated Region」、その環境の運用までも顧客側で実行でき、顧客が自社のクラウドサービスとして販売も可能となる「Oracle Alloy」による専用クラウドの提供などを挙げた。専用クラウドに関して三澤社長は「オラクルにしかできない」とアピール。第二世代のクラウドであるOCIの優位性を生かし、市場での存在感を高める考えを改めて示した。ガバメントクラウドへのコミットメントや、ERPをはじめとしたアプリケーション領域におけるITコスト構造の変革実現などにも取り組むとした。
三澤智光 社長
AIに関しては、大規模AI開発のインフラとなる「OCI Supercluster」による開発の高速化、低コスト化を実現するほか、「Oracle Fusion Cloud Applications」へのAI実装を進めるとした。
パートナー戦略では、引き続きクラウド技術者の拡充に努める。23会計年度は、パートナーにおけるOracle Cloudの資格保有者が前年度比7割増となったが、三澤社長は「まだ不足している」と指摘。育成に向けてはオラクルのコンサルティング部隊が有するノウハウを積極的にパートナーへ移行したり、大規模なクラウドリフトの事例を体系化した上でパートナーとシェアしたりする考えを示した。三澤社長は「(パートナーには)ちゃんとエンジニアを育成してほしいとお願いしている。プライオリティは今、そこにある」と強調した。
(藤岡 堯)