日本オラクルはガバメントクラウド移行の支援に向けた取り組みを加速する。2月には全国7都市で自治体システムのモダナイズに関わるパートナー企業に対し、ガバメントクラウドや自治体DX支援、「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)のスキル取得などを目的としたトレーニングをキャラバン形式で実施するほか、集合研修の割引、認定試験受験料の無料化などを用意する。政府・自治体職員向けにも学習パスや研修プログラムを準備し、無償で提供する。同社は円滑な移行の実現には全国的な人材の確保が重要になるとみており、各種施策を通じて専門人材の育成を推進し、行政サービスの変革に貢献したい考えだ。
(藤岡 堯)
佐野守計常務(右)と本多充執行役員
パートナー向けのトレーニングは2月10日の東京から、大阪(15日)、岡山(16日)、福岡(17日)、札幌(20日)、名古屋(22日)、仙台(28日)の順に開かれる。パッケージ開発や自治体システムの構築・運用、公共システムの販売を手掛けるベンダーを主な対象とし、日本オラクルのパートナー以外の企業にも積極的に参加を呼び掛ける。佐野守計・常務執行役員アライアンス統括は「自治体に入り込んでいる、地場の強いベンダーの皆さんと向き合っていきたい」と語る。
内容については、同社のガバメントクラウドにかかる取り組みや、サービスの基本設計などをまとめたリファレンス・アーキテクチャの紹介をはじめ、自治体向けOCIの利活用実績、行政におけるデータドリブン・アプローチの解説などを予定する。オラクルのコンサルティング・サービス部門が有する基幹システムのクラウド移行に関する知見の提供やパートナー向けの各種プログラムの周知にも努める。パートナーと公共領域を担当する営業部隊とのコミュニケーションを深める場としても活用する。
トレーニングキャラバンをきっかけとし、無料のオンライントレーニングや、実践的なハンズオンでスキルを向上できる集合研修(割引価格が適用)などを通じて技術を磨いてもらい、認定試験の受験につなげ、パートナー企業の底上げを図る狙いだ。佐野常務は「OCIはクラウドとしては後発であり、詳しく知らないパートナーも多いだろう。OCIのよさをしっかりと伝え、『オラクルを担がなければ損』と思ってもらえるような機会とする。久しぶりの対面であり、皆さんの生の声をいただきたい」と意気込む。
政府・自治体職員向けの研修も用意
政府や自治体職員向けには、クラウドサービス事業者を選定・調達する立場として必要となる知識やスキルの習得を目的とする学習プログラムを新規開発し、デジタルラーニングコンテンツとして無料で提供する。既存のOCI認定資格をベースに、ガバメントクラウドの利活用に即した内容となる見通しで、基礎知識から高度なスキルまで、必要に応じてメニューを選択できる。
トレーニングと合わせ、OCIの性能、価格、セキュリティ、基幹系システム以外も含めたデジタル変革への有用性などの強みを広く訴求する。本多充・執行役員クラウド事業統括・公共・社会基盤営業統括は「住民サービスを(デジタルで)拡充するために重要なのはデータであり、その観点ではオラクルには一日の長がある」と強調。加えて、価格面に関して「高い」とされていた従来のオラクルのイメージを変えたいとし「圧倒的なコストパフォーマンスがある」ことをアピールしたいとする。
OCIは2022年10月にガバメントクラウドの対象サービスとして選定されている。