リコーは2023年度上期(4~9月)のデジタルサービスの売上比率が46%に達し、通期では49%に高まる見通しを明らかにした。上期で地域別売上比率が最も高いのが国内の49%で、次いで欧州の43%、米州が30%、アジア太平洋(APAC)が16%だった(図参照)。
オフィス系と現場系のそれぞれでデジタル化を推進しており、上期売上比率の内訳はオフィスのデジタルサービスが39%、現場のデジタル化が7%だった。デジタルサービスの主力商材はリコー独自の文書管理サービス「DocuWare」や業務プロセスを自動化する「Axon Ivy」、サイボウズと共同開発した「RICOH kintone plus」、オンライン会議システムなどで、強みとするドキュメント関連や業務効率化に焦点を当てている。25年度までの3カ年中期経営計画では、グループ全体でデジタルサービスの売上比率60%を目指している。
リコー 入佐孝宏 プレジデント
kintone plusは22年10月に国内販売を始めて1年間の累計顧客数は1096社に達し、23年2月には北米での販売をスタート。24年1月に中南米向けの販売を開始し、24年度上期にはAPAC、24年度中には欧州で販売を始める予定だ。
また、DocuWareのグローバルでの累計顧客数は約1万8000社に達し、DocuWareの有資格者は世界で500人余りに増えた。リコーのコーポレート上席執行役員で、リコーデジタルサービスビジネスユニットの入佐孝宏・プレジデントは「営業が顧客の需要を聞き込み、DocuWare認定資格者が要件定義や開発を行う体制を組んで人材育成に取り組んでいる」と話す。認定資格者はDocuWare発祥の欧州が約300人、日本と北米がそれぞれ約60人、その他がアジア・中南米に配置しており、今後も拡充していく方針。
リコージャパン 笠井 徹 社長
デジタルサービスのストックビジネス化にも力を入れており、26年度に22年度比で14ポイント増の50%超のストック比率の達成を目指す。国内ではデジタルサービスを体系化したスクラムシリーズとの相性がよく、「スクラムシリーズ導入顧客のストック化率は88%に達している」(リコージャパンの笠井徹社長)と、スクラムシリーズの拡販と並行してストック化の比率を高めることで安定した収益力の確保を進めていく。
(安藤章司)