リコーは、ローコード開発ツールや業務自動化のRPAツールなどを駆使して、従業員による自発的な業務プロセス改革「プロセスDX」に取り組んでいる。社内実践で成果が出た事例に基づいたコンサルティングサービスなどの外販も始めており、直近1年余りで製造業や流通業、シェアードサービス会社などで実績を積んでいる。東芝テックとの合弁による複合機やプリンタのエンジン共通化が進行中で、組織再編に伴う業務プロセス改革の領域においても「効率化できる部分についてプロセス改革で培ったノウハウを応用していく」（西宮一雄・コーポレート執行役員プロフェッショナルサービス担当）方針だ。
 
　プロセスDXは先進的なデジタルツールを駆使して業務プロセスを改革する活動を通じて、現場の困りごとを解消するもので、例えば、複合機の開発や動作検証で必要となる評価機の貸し出し、返却を管理するアプリを、ローコード開発ツールの「Microsoft Power Apps」などを使って現場従業員のみで開発して効率化。ほかにも複雑化した人事評価システムをローコード開発やRPAツールを使って分かりやすく改良したことで、人事部門への問い合わせ件数を減らし、作業工数を少なくする取り組みを現場主導で実践している。

　リコーはプロセスDXの習熟度を「ブロンズ」から「プラチナ」まで4段階に分け、下から2番目のプロセスDXを実践できる能力を持った「シルバー」人材を2025年度までに全体の4割程度まで増やしていく。現段階では主管部門のプロフェッショナルサービス部を中心に育成中だが「プロセスDXが必要なすべての部門でシルバー人材を増やす」（浅香孝司・プロフェッショナルサービス部ワークフロー革新センター所長）ことで、全社的なプロセスDXの速度アップを目指す。最上位で外部顧客向けのプロセスDXコンサルティングの能力を持つプラチナ人材の育成にも力を入れて外販にも弾みをつける。
（安藤章司）