NECは12月6日、製造業向けソリューションの新しいパートナープログラム「共創パートナープログラム/Manufacturing」を開始した。同日に説明会を開き、プログラムを通じて販売、開発双方のパートナーと連携を強化し、NECの技術やサービスと、パートナーのリソースを組み合わせることで、製造現場のDX推進を後押しする考えを示した。
(大畑直悠)
今回のプログラムには、現在20社のパートナーが参加しており、今後は3年で3倍に拡大させる。また、パートナーとのビジネス規模は3年で2.5倍にする考えだ。
プログラムでは、NECとパートナーが有する製品・サービスのクロスセルやデリバリーを担う「セールスパートナー」と、NECとパートナーの製品を連携させたソリューションを開発する「ソリューションパートナー」の2種類のカテゴリーを設定し、それぞれ実績に応じて「Registered」「Select」「Premier」のグレードに分類する。
セールスパートナーには、専用ポータルサイトのアクセス権やセールスツール、技術文書のほか、案件紹介サービスを提供する。Select向けには、オンラインで個別トレーニングやデモ・開発ライセンスの値引き、販売・技術支援の優先解答などを提供する。Premierには、同社の展示ルーム「NEC DX Factory」の共創スペースで商談の支援を提供する。
パートナーが取り扱える製品では、さまざまな種類の自律走行搬送ロボットを集中制御し、リアルタイムで最適な移動経路を自動生成できる「NECマルチロボットコントローラ」がある。このほかNECは、2024年1月に提供予定で、作業員の業務プロセスを映像とAIを用いて分析し、作業手順の最適化や品質を安定化する「NECものづくりDX映像AI分析ソリューション」などをそろえる。今後はプログラム内で扱う製品を拡充させ、パートナーとの協力関係を深めていく方針だ。
ソリューションパートナーに対しては、製品間の接続性テストをサポートする。SelectではNECのウェブサイトにパートナーの連携製品を掲載し、Premier向けにはNEC DX Factoryの共創スペースで連携製品を展示する。
接続できる製品については、マルチロボットコントローラやNECものづくりDX映像AI分析ソリューションのほか、ERPやPLMのデータなどを統合する「NEC Industrial IoT Platform」などを用意する。
清水一寿 CorporateSVP
製造ソリューション事業部門長の清水一寿・CorporateSVPは、グローバルに対し日本の製造業のデジタル化が遅れつつあるとし、「日本のモノづくりを強くしなければ、製造業だけでなく、支援するわれわれのような企業も共倒れになってしまう」と危機感を示した。その上で、パートナープログラムの狙いを「これまで現場のデジタル化はピンポイントで行われることが多く、大きな構想の中でDXを進められていなかった。これを達成するためには、ベンダーが単独で顧客を支援するのではなく、足りないピースを補い合いながら複数社で構想を実現させる必要がある」と説明した。また従来のさまざまな製品を顧客側で統合する手法では、人材面などで課題が多く、パートナーとあらかじめ製品を統合したかたちで提供し、DX支援を効率化するとした。