NECは10月11日、基幹ストレージの「iStorage Vシリーズ」に、中堅・中小企業や自治体向けのエントリーモデルを追加した。高速なNVMe SSDを搭載していた従来の上位製品とは異なり、安価なSAS HDDを採用したほか、管理機能などを厳選して価格を抑えた。希望小売価格は最小構成時で314万円(税別)。また、「Amazon Web Services(AWS)」を利用したクラウドバックアップにも新たに対応した。
iStorage Vシリーズ
同社のストレージ製品「iStorage」の中でVシリーズは、企業の仮想化基盤など基幹業務用のプライマリーストレージを担う。従来はビッグデータ分析などでの活用を想定しNVMe SSDによる高速性を特徴としていたが、2.5インチSAS HDDの低価格モデルを投入することで、中小企業や地方自治体なども新たなユーザー層として取り込み、今後はSANストレージの主力シリーズとして展開していく。
重複排除・圧縮、暗号化、スナップショットといった基本的な管理機能をカバーする一方、データの物理的配置の最適化や遠隔地の筐体へのレプリケーションといった従来の機種に搭載されていた機能は省略。また、本体に管理ソフトを内蔵することで管理サーバーなしでの運用を可能としており、システム構成を簡略化し導入コストを抑えられるのが特徴。
加えて、上位機種も含めたVシリーズ全体の新機能として、AWSのクラウドストレージとオンプレミス環境を連携させる「Storage Gateway」に対応した。オンプレミス側にゲートウェイサーバーを用意することで、VシリーズのデータをAWSの「Amazon S3」にバックアップ可能で、複数の拠点を所有していない企業でも遠隔バックアップの体制を整えられる。クラウドと連携したITインフラの構築に慣れていないユーザー向けに、クラウドバックアップの導入支援サービスも提供する。
(日高 彰)