大塚商会が2月1日に発表した2023年12月期通期(23年1月1日~12月31日)の連結決算は、売上高が前期比13.5%増の9773億7000万円となり、初めて9000億円を突破した。各利益も過去最高を更新し、大塚裕司社長は「非常にいいかたち」と評価した。24年は国内の景気改善に加え、IT投資が堅調に推移するとみており、通期で売上高1兆円超えを狙う。
(齋藤秀平)
大塚裕司 社長
営業利益は15%増の629億5900万円、経常利益は13.9%増の645億1700万円、純利益は18.6%増の474億4800万円だった。同日の説明会で、大塚社長は「非常にいいかたちで終了できた。連結としては、『Windows 7』関係の特需があった19年以来、4年ぶりに売上高と各利益が過去最高となった」と総括した。一方、営業利益率は6.4%となり、中・長期経営方針で掲げる7%以上に届かなかった。これについては「影踏みの影を追いかけている感じ」と達成の難しさを表現し、「一歩ずつ7%を視野に入れながら、安定的に出せるように努力していきたい」と述べた。
23年は、コロナ禍の行動制限がなくなり、得意とする訪問による商談が活発化したほか、注力しているAIによる営業活動の支援も奏功した。23年のAI受注金額は115億2000万円で、21年の83億8000万円と22年の80億1000万円を上回った。利用部門の受注金額に占めるのAI受注の割合は、第1四半期が4.8%、第2四半期が7.3%、第3四半期が7.8%、第4四半期が8.8%と上昇した。大塚社長は「現場でのAIの活用状況はまだ4割強くらい」としたものの、「AIが新たな気づきや知識を広げ、『オフィスまるごと』のバックボーンになるかもしれない」と期待感を示した。
重点戦略事業では、たのめーる、SMILE、ODS(OtsukaDocument Solutions)、OSM(OtsukaSecurity Management)の各事業の売上高は、いずれも前期に比べてプラスになった。このうちSMILE事業は、改正電子帳簿保存法やインボイス制度絡みの需要によって22%増、OSM事業はセキュリティへの関心の高まりから24.1%増とともに高い伸び率になった。ハードウェアの販売台数は、複写機とサーバーがいずれも0.9%減だったが、PCが8.7%増となり、全体としては5.5%増で着地した。
24年の事業環境について、同社は「景気は内需を中心に引き続き改善に向かっていくことが期待される」とした上で、「『Windows 10』サポート終了に伴うPCの更新需要が動き出すことが期待されるなど、企業のIT投資は底堅く推移する」などと予想しており、幅広い商材やサービスを生かしながら引き続き企業のDX推進を支援する方針だ。
24年12月期通期の業績予想では、売上高は5%増の1兆260億円、営業利益は8.8%増の685億円、経常利益は6.9%増の690億円、純利益は0.5%増の476億7000万円を見込む。大塚社長は、数字については慎重に設定したと話し、「これしか伸ばさないというつもりはない。精いっぱい、やれるところまで伸ばす。まずは1兆円の大台に緊張しながらトライし、1兆円企業としてふさわしい会社になっていきたい」と意気込んだ。