米Salesforce(セールスフォース)の日本法人は3月15日、CRMに生成AIの機能をローコードで組み込むためのツールセット「Einstein 1 Studio」と、顧客データなどを一元管理できるようにする「Data Cloud」に四つの機能を追加し、企業の独自データの活用を支援すると発表した。加えて、2024年2月に製品展開を強化する新組織を立ち上げたとし、国内市場での生成AI活用の推進を加速する構えだ。
Einstein 1 Studioには、データのセキュリティーや信頼性を担保する仕組みの「Einstein Trust Layer」上で構築したデータを用いて、生成AIのプロンプトを作成できる「プロンプトビルダー」をリリース。CRMの顧客データなどを用いてよりパーソナライズされたコンテンツの作成を支援する。ユースケースに合わせて最適な大規模言語モデルや予測モデルを使用できるようしたり、Data Cloud上のデータを活用した予測モデルの構築をサポートしたりする「モデルビルダー」も発表。いずれも3月8日に提供を開始した。
三戸 篤 専務執行役員
Data Cloudでは、「Google BigQuery」や「Snowflake」上のデータを、実データのコピーを必要とせずに連携できる機能「データフェデレーション」を3月中旬に提供する予定。また、非構造化データと構造化データを統合的に管理し活用可能にする機能「Data Cloudベクトルデータベース」と、同機能上のデータを類似性に基づいて検索する「Einstein Copilot Search」を3月中旬からパイロット提供する。両機能でRAG(拡張性検索)を構築し、生成AIの回答の精度を向上する。
同社は2月、製品の市場展開を網羅的・戦略的に進める「製品統括本部」を設置。プロダクトマネジメントやマーケティング、営業、製品を横断した顧客支援などを一貫して担う。同組織の統括本部長に就任した三戸篤・専務執行役員は「この組織の設置は日本独自の取り組みだ。生成AIを中心にイノベーションの速度が高まる中、製品面での国内市場へのコミットを遅れなく展開し、国内の顧客の声を製品に反映させることに力を入れる」と意気込んだ。
(大畑直悠)