――2023年の振り返りを。
非常に大きな成長ができた。グローバルでの決算も力強い数字を示すことができ、日本法人としてもグローバルの好調に寄与できた。要因としては、コロナ禍では、顧客はDXへの投資に対して慎重になったり、ブレーキを踏んだりしていたが、そうした状況が改善され、改めてインフラ整備や働き方改革、生産性の向上をやらなければならないという機運が高まった。
代表取締役会長兼社長 小出伸一
――注目を集めた生成AIについてはどう見ているか。
生成AIをビジネスに活用するにはデータのクオリティが重要だ。一方で、国内企業のIT環境はデータベースがバラバラだったり、それを統合するためのAPIが複雑化していたりする状況だ。生成AIへの期待は、データをきちんと整備した上でデータに基づいた経営をしたいという大きな動きが根底にあり、それを無視すれば実際のビジネスに役立たせることはできない。
その意味でCRMをベースに、あらゆるデータソースから顧客に関する情報を集め、顧客体験を最適化するソリューションやプロダクトを充実させてきたことには意義がある。そこに生成AIを適用し、意思決定をより迅速にするなど、顧客の生産性の向上に寄与できるだろう。
地方・中堅・中小企業への取り組みを強化
――24年のパートナー戦略は。
あらゆるところでDXへの取り組みが進む昨今の状況下では、首都圏や大企業だけではなく、地方自治体や地方企業、中堅・中小企業に対する支援は重要だ。そのために、地域に根付いた電力会社や地方銀行を含むパートナーエコシステムの構築を継続して強化する。
積極的にDXに取り組む中小企業にとって相談先となるのは、例えば地方銀行だ。そこから当社のソリューションやISVパートナーが開発したアプリケーションを提供するマーケットプレイス「AppExchange」上のプロダクトを使いたいということになるため、いろいろなところにわれわれの相談窓口を用意するとともに、実装やコンサルティングを担うパートナーと連携し、チームとして顧客を支援する。
とはいえ地方の顧客に価値を届けるためのネットワークの構築はまだ不十分だ。今後も時間をかけてパートナーの育成や支援を続ける。
――AppExchangeの拡充に関する考えは。
当社の製品を導入する顧客の9割以上が、AppExchange上のアプリを使っている。ここには、もう少し投資をすべきかと考えている。特に中小企業への展開が広まれば、パートナーの数を増やすことももちろんだが、各顧客のニーズに合うアプリの数を増やすことも重要だ。