米ServiceNow(サービスナウ)の日本法人ServiceNow Japanは3月28日、2024年の事業戦略説明会を開き、官公庁や自治体など公共向けのアプローチを強化する方針を示した。ガバメントクラウド上でも円滑に稼働するソリューションを提供するとともに、パートナーとの協業で、ニーズに応じたソリューションの拡充や提案力の強化を図る。中堅・成長企業向けにも本腰を入れる考えで、組織の新設やパートナーとの協業を加速する。
(大畑直悠)
鈴木正敏 社長
鈴木正敏社長は、「規定により具体的な数字は言えないが、23年は売り上げが2桁成長し、非常に好調だった。伝統的に強みがある通信やサービスプロバイダー業界だけではなく、製造、金融、公共が想定以上に伸長した。中でも公共向けビジネスは大きく進展したことから、24年は計画を前倒しして展開を加速する」と説明した。
公共向けの具体的な戦略としては、パートナーエコシステムを拡充する。同社が強みとするデジタルワークフローを活用して、パートナーが手がける外部システムと連携するソリューションを提供したり、ガバメントクラウドを前提とする業務や用途向けのソリューションを協力して開発したりする。また、公共市場向けの人材を昨年比で2倍に拡大し、専門人材を配置することも明かした。
鈴木社長は「単純に製品を販売するだけではなく、パートナーと協業して公共の複雑な業務プロセスを効率化することが重要だ。特に中央省庁へのサポートの強化を通して、国民サービス、市民サービスの向上の役に立ちたい」と意気込み、システムのサイロ化の解消や手作業の削減などで、職員の生産性の向上に寄与するとした。
中堅企業や成長企業向けのビジネスにも力を入れる。ITサービス管理や顧客サービス管理に特化したシナリオを作成し、提案する考え。専門の営業組織の立ち上げに加え、中堅企業に強いパートナーとの協業も進める。鈴木社長は「大手企業への提案や導入の中で蓄えたノウハウを活用して、より多くの顧客を支援していきたい。(中堅・成長企業は)大手に対し企業体力も違うことから、特定のソリューションにフォーカスして活用してもらう戦略を推進する」と語った。
4月3日には統合基盤「Now Platform」の最新版「Washington,D.C.」の説明会が開かれた。顧客ライフサイクルを最適化する新サービスとして「Sales and Order Management」を新たに追加。営業担当者向けの販売機会の管理や見積もりの作成、注文の受付や処理に加え、カスタマーサービス担当者がアップセルやクロスセルの推進に活用する機能も備える。同基盤が提供する顧客サービスや調達・経理の機能などと組み合わせて、バックオフィスからミドルオフィス、フロントオフィスまでが単一基盤上で一貫してサポート可能になり、組織・部門間の連携をより強固に支援するとした。