【米ラスベガス発】米Oracle(オラクル)の年次カンファレンス「Oracle CloudWorld 2024」は9月11日(米国時間)、2日目を迎え、基調講演では富士通との戦略的協業で推進するソブリンクラウドのサービスが紹介された。登壇した富士通の古賀一司・執行役員SEVPシステムプラットフォームは「ソブリンクラウドをグローバルに展開する予定だ」と述べ、2025年4月に提供開始を予定する日本を皮切りに国内外で市場開拓を図るとした。
基調講演で対談する
米オラクルのクレイ・マグワイク・OCI開発担当エグゼクティブ・バイスプレジデント(左)と
富士通の古賀一司・執行役員(右)
ソブリンクラウドは国やユーザー企業が主権を確保できる形態で提供されるクラウドサービスで、富士通はオラクルのクラウド基盤「Oracle Alloy」をベースに提供する。Oracle Alloyは顧客のデータセンター(DC)に「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)の環境をIaaS、PaaS、SaaSの全レイヤーで構築し、運用も顧客側で実行可能なサービス。富士通はオラクルと協力し、ソブリンに必要と考えられる106の要件に対応できるよう整備し、運用コンサルティングサービスやクラウド環境の運用支援サービス「Fujitsu Cloud Managed Service」(FCMS)を組み合わせ、富士通のDCから提供する。
講演はオラクルのクレイ・マグワイク・OCI開発担当エグゼクティブ・バイスプレジデントとの対談形式で進められた。古賀執行役員は日本国内でのクラウドに関するニーズとして、最新の技術を駆使しつつ、運用の透明性を担保し、なおかつデータの制御も顧客側で可能となること挙げた。一方で、オラクル以外のハイパースケーラーではこの要素を満たすことが難しいと指摘し、Alloyを使った富士通のサービスはこのニーズをすべて満たせるとアピールした。
海外展開に関して、古賀執行役員は講演後のブリーフィングで「グローバルで展開する企業をサポートするのは、富士通の大きなミッションだ」と述べ、各国のニーズに沿うかたちで要件を検討し、具体化を進める姿勢を示した。
ソブリン以外のパブリッククラウドなども含めて一元的にクラウド運用を最適化できるFCMSで差別化を図るほか、データ主権要件に対応する「ソブリンAI」を実現するために、富士通が提供するAIプラットフォーム「Fujitsu Kozuchi」との連携も進める考えだ。ブリーフィングに同席した日本オラクルの竹爪慎治・専務執行役員は「新しいかたちのクラウドのパートナーモデルだ」と話し、協業のさらなる深化に期待を寄せた。
Oracle CloudWorld 2024は現地時間の12日に閉幕した。日本オラクルによると、117を超える国や地域から総勢1万6000人以上が来場した。(藤岡 堯)