SB C&Sは、クラウドセキュリティー商材の拡充を進めている。2024年9月に米Wiz(ウィズ)とディストリビューター契約を結び、CNAPP(Cloud Native Application Protection Platform)製品「Wiz Platform」の取り扱いを開始した。パブリッククラウドへの移行が進む中、セキュリティーリスクが拡大していることから、販売パートナーへの支援を充実させ、クラウドセキュリティー製品の利用を促進していく。
(岩田晃久)
ウィズは20年に設立、18カ月でARR(年間経常収益)1億ドルを達成するなど、グローバルで注目を集めるセキュリティーベンダーだ。Wiz Platformは、パブリッククラウド環境のぜい弱性や設定ミスなどを検出するCSPM(Cloud Security Posture Management)、クラウドワークロードに対して、リスク検知などを行うCWPP(Cloud Workload Protection Platforms)、パブリッククラウドの権限管理を行うCIEM(Cloud Infrastructure Entitlement Management)といったクラウドセキュリティー機能をプラットフォームで提供する。「クラウド環境のぜい弱性を把握したい」「コンテナでのアプリケーション開発をセキュアに高速化したい」などのエンドユーザーの異なるニーズに対して一つのプラットフォームで対応できるのが特徴となる。
導入にはエージェントをインストールする必要がなく、APIで接続するだけで、クラウド環境を可視化し、リスクや攻撃経路を検出する。検出したリスクは自動で優先付けされるため、セキュリティー担当者は重要な脅威に集中して対応できるようになるとした。「Amazon Web Services」「Microsoft Azure」「Google Cloud」などマルチクラウドに対応する。
山名広朗 本部長
SB C&Sの山名広朗・ICT事業本部ネットワーク&セキュリティ推進本部長は「プラットフォームで複数の機能を提供することで、さまざまな入り口からエンドユーザーにクラウドセキュリティーを提案できる。一つの機能から利用して、その後、他の機能を利用するのも容易だ」と説明する。実際、欧米のユーザーは、更新のタイミングで利用する機能を増やす傾向が強いという。
ディストリビューター契約を結んで以降、イベントなどを通じて情報発信を行っており、大手SIerを中心に高い関心が寄せられているという。MSSP(マネージドセキュリティーサービス事業者)などの販売パートナーとの協業にも注力していく考えだ。一方で、クラウドセキュリティー商材の提案に慣れていないパートナーも一定数存在するため、セキュリティー専門組織であるゼロトラスト推進室に属する「セキュリティ製品ソムリエ」による情報提供やソリューション展開、勉強会・トレーニングの開催など支援体制の充実を図っている。
SB C&Sは、ウィズのほかにも米Palo Alto Networks(パロアルトネットワークス)の「Prisma Cloud」をはじめとしたさまざまなクラウドセキュリティー商材を扱っており、販売パートナーがエンドユーザーのニーズや環境に合わせて柔軟に提案できる体制を整えている。
山名本部長は「クラウド環境のセキュリティーを強化することで、これまで以上にクラウドシフトが進み、DXを加速させることができる。さらにAIの活用が進めば進むほどクラウドの利用が増加するため、その際にセキュリティーを担保することも重要だ」と強調した。