米ServiceNow(サービスナウ)は5月6~8日(米国時間)、米ラスベガスで年次イベントの「Knowledge 2025」を開催した。同社がこれまで製品・サービスの基盤としてきた「Now Platform」を「ServiceNow AI Platform」として新たに打ち出し、企業におけるAIエージェント活用の中心的な役割を担う存在に位置付けた。初日の基調講演で、同社のビル・マクダーモット会長兼CEOは「21世紀の問題は20世紀のアーキテクチャーでは解決できない」と述べ、企業が複数のAIエージェントを活用する時代を見据えた製品アップデートを発表した。
米ServiceNow
ビル・マクダーモット
会長兼CEO
AIエージェントを一元管理
Knowledge 2025で目玉となる発表の一つとなったのは、複数のAIエージェントの一元管理や、それぞれのAIエージェントのライフサイクル管理を行う「AI Control Tower」だ。同社はこれまでCRMや人事(HR)いった特定の領域に特化したAIエージェントを実装し、複数のAIエージェントが連携してワークフローを自動化する仕組みの整備を進めてきた。AI Control Towerでは、AIエージェントが関与するさまざまなワークフローを一元的に管理する機能や、各AIエージェントのパフォーマンスの可視化、コンプライアンスやガバナンスといったリスク対策機能などを備え、企業が全社的なAI戦略の策定や実行、評価をする際に、中核的なソリューションになるという。
AIエージェント間の連携を推進する機能「AI Agent Fabric」も発表した。同社が提供するテンプレートや、ユーザーがServiceNow AI Platform上で構築したAIエージェントに加え、AIエージェント間のやり取りの標準規格となるMCP(Model Context Protocol)や「Agent2Agent」などを活用して他社のAIエージェントとの連携も支援する。AIエージェントをより広範かつ複雑に活用した業務プロセスを構築する基盤としての役割を果たせるようにした。
他システムとのデータ連携によって、AIによるデータ活用を拡大する取り組みも進めた。Amazon Web Serviceの「Redshift」やGoogle Cloudの「BigQuery」を始め、米Microsoft(マイクロソフト)の「SQL Server」、米Cloudera(クラウデラ)や米Teradata(テラデータ)などのデータ基盤に対応したコネクタを用意し、データを移動しなくてもServiceNow AI Platformから活用できるようにした。また、米Adobe(アドビ)、米Microsoft、米Boomi(ブーミー)、米Oracle(オラクル)とのパートナーシップにより、各社の主要アプリケーションと「ServiceNow AI Platform」を統合したワークフローを構築できるようになった。
このほか、基幹系の業務プロセスを効率化する「Core Business Suite」も発表した。人事、調達、財務、施設管理、法務といった業務プロセスを統合し、単一のポータルからアクセスできる。システムのサイロ化を解消することに加え、AI機能によって従業員体験を改善できるとした。グローバル企業でバックオフィス機能を一元的にしたい顧客への導入を想定する。
今後のAIエージェントの普及の展望としては「顧客ごとの状況に合わせて部分的に導入してもらう一方で、(サービスナウの)プラットフォーム上で活用することを意識してもらうことが重要だ」と語り、ServiceNow AI Platformを活用してAIエージェントの導入範囲を拡大し、組織を横断した業務プロセスの変革につなげることを重視する考えだ。
米ServiceNow(サービスナウ)は5月6~8日(米国時間)、米ラスベガスで年次イベントの「Knowledge 2025」を開催した。同社がこれまで製品・サービスの基盤としてきた「Now Platform」を「ServiceNow AI Platform」として新たに打ち出し、企業におけるAIエージェント活用の中心的な役割を担う存在に位置付けた。初日の基調講演で、同社のビル・マクダーモット会長兼CEOは「21世紀の問題は20世紀のアーキテクチャーでは解決できない」と述べ、企業が複数のAIエージェントを活用する時代を見据えた製品アップデートを発表した。