業界特化型のクラウドERPを展開するインフォアジャパンは6月3日、業務プロセス革新を支援する「Infor Velocity Suite」の一般提供を始めた。同社が注力する自動車や産業用製造などの業界ベンチマークに基づいたパフォーマンスを行える。「診断」「自動化」「最適化」の3ステップで、顧客の価値創造を支援するとしている。
診断は業務プロセスを詳細に分析し、ボトルネックを特定するフェーズ。業界ごとの標準モデルに各社独自の手順を加えたフローから、実際の運用で非効率になっている部分を発見する。次にAIやRPAを用いて、改善点について自動化する。例えば宅配便の配送であれば荷物受け取りの署名など紙ベースのやり取りをデジタル化し、通常は1~2週間かかっていた配達証明の発行を1~2時間に短縮するという。最適化では生成AIにより作業の効率を上げる。
自動化、最適化のフェーズでは業界別ソリューションカタログ「Infor Value+」が大きな役割を果たす。主に「Enterprise Automation」(手作業の削減)、「Insights」(意思決定を支援するための分析・レポート生成)、「Advanced Workspaces」(重要な情報とアクションの集約)の3種類のソリューションを用意しており、ユーザーに合わせて活用される。
米Infor
ウォルフガング・コベック EVP
記者発表会では、米国の製造会社でドキュメントの一元管理などにより年間7000時間の作業を削減した導入事例が紹介された。米Infor(インフォア)のウォルフガング・コベック・EVP兼インターナショナルビジネス担当GMは、今回の製品投入の意義について「(SaaS型ERPの)CloudSuiteに付加価値を生み出す」と強調。既存顧客へのアプローチや、CloudSuiteとセットで提案する方針を示した。
(春菜孝明)