エプソン販売は7月1日に開いた事業説明会で、学校向けにカラーインクジェット複合機を月額定額で利用できる「エプソンのスマートチャージ・アカデミックプラン」の導入率が、公立の小・中学校を中心に30%に迫っていることを明らかにした。およそ1年前の利用台数が5600台余り、導入率で約20%だったことを踏まえると10ポイント近く増えたことになる。
アカデミックプランは複合機本体、インクなどの消耗品、保守費用などを月額定額で提供するサービスで、契約している規定枚数まではカラー印刷の制限がない点が特徴である。予算の制限からモノクロ印刷していたプリント類をカラーで印刷できるようになり、児童や生徒の理解促進に役立つことが評価されるとともに、毎分100枚の高速機によって印刷にかかる時間と手間を削減できることも現場の教職員の生産性向上に役立っている。
栗林治夫 社長
インクジェット複合機は競合他社のレーザー複合機に比べて消費電力が8割削減でき、「災害発生時の予備電源で複合機を動かせる点が支持され、自治体や病院への納入数も増えている」と栗林治夫社長は話す。公立学校、自治体、病院を重点業種と位置付けてシェア拡大に力を入れる。
また、月額課金でインクジェットプリンターを利用できる一般家庭・小規模事業者向けサービス「ReadyPrint」の国内開始時期に関して「来年度以降の開始を検討している」(豊田誠・取締役マーケティング本部長)とした。同サービスは2020年にオランダでスタートしており、国内では24年にモニターを募集してテストマーケティングを実施。「印刷ボリュームがそれほど多くないユーザーでもインク交換や故障対応を自動化できる点に魅力を感じるケースが多い」(同)とし、ヘビーユーザーに限らず、幅広い利用者層が国内においても見込めるとの手応えを示した。
(安藤章司)