富士通とネットワーク関連子会社の1FINITYは9月3日、米Arrcus(アーカス)と次世代インフラ事業の強化に向けて戦略的パートナーシップを締結した。AIの実装によってデータトラフィックが急速に増え、高速で大容量のネットワークの重要性が高まる中、アーカスのネットワークOSを活用。AI時代に対応したインフラサービスを提供する。
富士通の森林正彰執行役員専務(右)と
米Arrcusのシェイカー・アイヤー・会長兼CEO
アーカスが提供する「ArcOS」は、データセンター(DC)やクラウド、エッジなど複数の環境を同一ソフトウェアで動かせる。そのため導入期間の短縮や一元的な運用管理が可能になる。従来のネットワークと比較して約40%のコスト削減ができるという。アーカスのシェイカー・アイヤー・会長兼CEOは「AIのネットワークにおいてコスト削減に貢献している」と実績を強調する。
富士通と1FINITYは提供形態として、同社のAIサービスやコンピューティング技術と合わせたトータルソリューションに加え、アーカスのソフトウェアライセンスのみの販売も想定。アーカスのソフトウェアは汎用機器であるホワイトボックスに対応しているため、ユーザーで用意したハードウェア上に構成できる。
富士通のネットワークプロダクト事業を承継し、7月1日に発足した1FINITYは通信事業者向けの既存ビジネスに加え、今回のパートナーシップでエンタープライズの開拓を図る。富士通の執行役員専務の森林正彰ネットワーク&データセンターBG長(1FINITY社長CEO)は「あらゆる業種で活用できる。特に効果がある大企業やグローバル企業、DC、AIを活用する企業がまずはターゲットになる」と意気込みを語った。国内外のパートナーと契約してグローバルで展開し、2030年までに2億米ドル(約300億円)の売り上げを目指す。
(春菜孝明)