ラクスとプラスアルファ・コンサルティング(PAC)は11月14日、資本業務提携の締結を発表した。HR領域での協業を皮切りに、中堅・中小企業向けを得意とするラクスと、エンタープライズに強いPACで顧客層を相互に補完し、市場でのカバレッジ強化を図る。協業の第1弾として、ラクスはPACのタレントマネジメント製品「タレントパレット」を「楽楽人事労務」(仮称)としてOEM展開し、HR領域でのビジネスを強化する。SaaS製品の競争が激しくなる中、両社は長期的な協力関係を構築し、さらなる成長の基盤としたい考えだ。
(藤岡 堯)
ラクスの中村崇則社長(左)とPACの三室克哉社長
同日付で、ラクスがPACの発行済株式総数の4.09%を約41億6100万円で取得した。
楽楽人事労務はタレントパレットの一部機能を抽出した製品で、人事・労務管理、「楽楽勤怠」とのマスター連携を標準機能として備え、人事労務の効率化ニーズに応える。人事評価やワークフローの構築といった高度な機能はオプションとして用意する。主に従業員数300人以下の企業には楽楽人事労務、301人以上の企業にはタレントパレットを訴求する方針で、ラクスが抱えるエンタープライズ顧客に対するタレントパレットの紹介も想定する。
初期費用は10万円、月額費用は3万円からと比較的安価に抑えた。2026年1~3月ごろの提供開始を予定し、28年に2000社への導入を目指す。
ラクスは、従業員数1000人未満の法人向けに強固な地盤を有しているものの、エンタープライズ層のシェアは相対的に低く、取り込みが急務となっている。加えて、「楽楽クラウド」におけるHR領域のサービスは楽楽勤怠のみにとどまっており、ポートフォリオの拡充は以前から検討されていたという。PACは人材の「見える化」から科学的な戦略的人事を実現するプロダクトを手掛け、エンタープライズ市場で存在感を有するが、中堅・中小企業への浸透が課題の一つであった。
提携では、営業・販売の相互支援、顧客の紹介、共同でのプロモーションなど幅広い分野で協力する。パートナー・代理店施策の検討と実行について協議する旨も盛り込まれているが、現時点では具体的な内容は固まっていない。
17日に開かれた会見で、ラクスの中村崇則社長とPACの三室克哉社長は、顧客開拓のノウハウの共有などを進めると説明。中村社長は「HR領域の強化を考える中で、優れたサービス、高いシェアを有する企業と組むのが良いと感じており、PACと組むことが一番だと判断した」と話した。三室社長はHR製品について、エンタープライズではデータ活用や分析の機能が求められる一方、中堅・中小企業では人事情報を管理するためのデータベースの構築や、一つのアカウントで複数製品を横断・連携できる効率性が求められるとし「(エンタープライズと中堅・中小企業)の二つの活用方法の違いに対し、二つのサービスでトータルで攻略していきたい」と述べた。
SaaS業界では市場の成熟により成長鈍化が懸念されており、今後、企業間の連携・協業が加速する可能性がある。三室社長は提携について「SaaS領域での“連合軍”として強い世界ができる」と表現。「自社だけでは行き詰まりつつある。M&Aもなかなかうまくいかなかった」とも語り、実力のある企業との協力が効果的との見方を示す。中村社長も30年ごろには労働人口の減少によって各社のアカウント獲得が伸び悩むと見通し「ここから5年間ほどで(連携などが)進むのではないか」と予測した。