ラクスは10月21日、問い合わせ管理システム「メールディーラー」を「楽楽自動応対」に、メールマーケティングサービス「配配メール」を「楽楽メールマーケティング」へ名称変更し、「楽楽クラウド」へブランド統合すると発表した。23日から順次対応を進めている。楽楽シリーズが有するブランド力を生かし、フロント領域での事業を強化する考えで、今後は新たな製品展開も積極的に進める方針だ。
メールディーラーは2001年にラクスとして初めて市場投入したSaaSで、配配メールは07年に発売した。どちらもラクスでは長い歴史があり、累計導入社数でメールディーラーは9000社以上、配配メールは1万社以上と、多数のユーザーを抱えている。このタイミングでの名称変更の背景には、機能拡張によるプロダクトの変質がある。
メールディーラーはメールの共有・管理を効率化する製品だが、直近ではAI機能の実装により、蓄積された過去のメール応対履歴やFAQなどのナレッジを参照してAIが返信文案を自動生成したり、メールの文面から顧客のネガティブな感情を分析して対応の優先度を順位付けしたりといったことが行えるようになった。配配メールについても、初期のメール一斉配信から、メールマーケティング領域の支援へとサービスの範囲が広がっている。
吉岡耕児・楽楽クラウド事業本部長
21日に開かれた説明会で、上級執行役員の吉岡耕児・楽楽クラウド事業本部長は「”メール”と付くだけの名称では、私たちがお客様に提供してる価値を正しく表現しきれなくなっている」と変更の意図を解説した。
加えて吉岡事業本部長は、すでに高い認知度を誇る楽楽クラウドのブランド力をフロントオフィス領域にも生かしたい考えを示す。吉岡事業本部長は「(楽楽クラウドは)バックオフィス業務の従事者以外にも高い認知がある。新しいサービスの展開では認知拡大が大きな課題になることから、その課題を一気に飛び越えることができるのが、楽楽というブランドだと考えている」と語った。
今後、ラクスが展開するプロダクトはフロントオフィス、バックオフィスを問わず「楽楽」の名称で統一される見通しだ。吉岡事業本部長は「ラクスはSaaSを提供してお客様に寄り添いながら業務課題を解決している。これはバックオフィスだけでなく、フロントオフィスでも同じ思想だ。その意味でも、ブランドを統合し、楽楽を付けることには妥当性がある」とした。その上で、フロントオフィス領域での事業戦略に関して「幅広い業務領域に対応し、お客様により良くなっていただきたいと考えている。今後そういったサービスの展開も積極的に考えていきたい」と話した。(藤岡 堯)