IBMは、電気、ガス、水道などと同じように使用したITインフラに応じた従量制料金のネットワーク・アウトソーシング「e-ソーシング」を03年から世界市場で本格的に展開する。そのため02年頭より、e-ソーシング向けのビジネスパートナー募集を米国で開始した。IBMは100社の米大企業調査を実施し、49社は既にITユーティリティサービスを利用中で、02年末には81社まで普及すると発表した。ユーザーがeソーシングに期待する業務はCRM、eコマース、セールスフォースオートメーション、セキュリティ確保システム、ストレージサービス、システムの全体的マネジメントであることも調査で明確になった。

パートナー募集開始

 またユーザーがe-ソーシングに期待する効果は、新システムの早期稼働、システムパフォーマンスの向上、ITへのイニシャル投資削減、日常的TCO(所有総コスト)削減、そしてウイルス、物理的破壊、生物化学兵器によるサイバーテロ対策である。とくにデータセンターの物理的爆破や生物化学兵器攻撃によるセンタービル閉鎖に対応するためのセンター多重化は、自社運営だけではコスト高となる。そのため、テロ対策としてe-ソーシングに期待するユーザーが米国には多い。

 IBMはユーザー実態を把握しているパートナーをe-ソーシング普及に積極活用する方針を決定し、世界的にパートナーを増やすことを発表した。とくにe-ソーシング需要は日本市場で大きいと判断し、千葉県幕張と東京三鷹に世界初のe-ソーシングセンターを01年秋に開設している。IBMはe-ソーシングをビジネス・プロセス・アウトソーシング、リモートネットワーク、アプリケーションマネジメント、ストレージサービス、セキュリティ向上に役立つアウトソーシングと位置づけている。

 IBMのe-ソーシング担当テブ・マックハージー副社長は「特定業務や特定業種アプリケーションに十分な経験をもつパートナーがe-ソーシング連合に参加することを望んでいる。IBMは、絶対に故障せず連続稼働する強固なITインフラをパートナーに提供する。このインフラを使ってパートナーはユーザー固有サポートを実施できる。IBMへの料金から毎月手数料をパートナーに支払うことで、パートナー売上高も安定する」と語っている。

 IBMはテストケースとして米SIerのソフトソルブと協同して、米テキサス州の州立スクールネットワークのe-ソーシングを開始した。州立220校と3500台のクライアントを結ぶ大システムである。ソフトソルブのアリ・ヨハンCEOは「IBMとの協同作業は順調だ。IBMは全体システムの設計とネットワーク運用とユーザー機器調達を支援する。わが社はユーザーアプリケーション開発とそのアップグレード、教育を手掛ける。わが社の役割は、トータルソリューション提供ではなく、ユーザー満足度を日ごとに高めることに専念すること。e-ソーシングは間違いなくこれからのIT利用の主流になる」と語る。(中野英嗣●文)