進化するECビジネス

<進化するECビジネス>ディー・エヌ・エー オークション中心に売り手と買い手を登録料なしでつなぐ

2002/03/11 16:18

 オークションを中心に、定額販売、共同購入などの取引方法で売り手と買い手をつなぐ「ビッダーズ(http://www.bidders.co.jp/)」は、ディー・エヌ・エー(南場智子代表取締役兼CEO)が1999年12月から提供しているサイトで、会員数が個人で約95万人、法人で約1万5000社に達している。同サイトの特徴は、会員登録料が無料であること。売り手会員が成約手数料を支払う仕組みだ。同社ではパートナー企業に、このサイトのプラットフォームを提供。パートナーとのアライアンス戦略で会員数を増やしていく。今年度は、約100万会員になる見通しだ。

3形態の取り引きで
個人・法人を対象に


 ディー・エヌ・エーが設立されたのは99年3月。現在の南場代表取締役兼CEOと川田尚吾取締役マーケティング本部長兼COOの2人が立ち上げた会社だ。

 川田取締役兼COOは、「eコマースサイトを立ち上げたかったのと、米国でインターネットオークションが盛んに行われており、日本でもオークションが盛んになると判断したから」ときっかけを話す。

 同年10月にソニーコミュニケーションネットワークが運営する「So-net(ソネット)」と、リクルートが提供している「ISIZE(イサイズ)」の個人間掲示板「イサイズじゃマール」と連携し、同年11月に「ビッダーズ」のサービスを開始した。

 ビッダーズは、売り手と買い手として、個人や法人を問わない。製品も新品や中古品すべてを対象としている。「製品や対象者を限定しないことは、会員の幅が広がり、会員にとっても効果的なマッチングが実現できる」としている。

 在庫数は13万アイテムを超えており、日々増加している。会員登録料は売り手と買い手とも無料で、取り引きが成立した際に、買い手側が手数料として商品価格の5%支払う。

 ビッダーズの取引方法は、「オークション」、出品者があらかじめ決めた価格で販売できる「フラッシュセール」、購入者が多く集まれば価格が安くなる「共同購入」から成り立つ。取り引きが成立した場合の商品受け渡しは、基本的に売り手と買い手の間で行う。オプションとして、取り引きを簡便化する「エスクローサービス」を用意している。

 法人向けには、ネット販売を支援する「クラブビッダーズ」のサービスを提供している。

 同サービスは、集客から販売、アフターケアまで、一連のビジネスを一貫してサポートする。クラブビッダーズの会員は、自社の販売サイトとビッダーズサイトを相互にリンクした「出品中リスト」を活用し、集客につなげることができる。アフターケアでは、「売上カレンダー」や「アイテム情報管理」、「取引管理」、「広告・販売促進」などの機能がある。

 サービスの価格は月額2万円となっている。

 同社では、ビッダーズの会員を増やすことに注力し、今年2月末の時点で個人会員が約95万人、法人会員が約1万5000社に達している。


ISPやポータルなどに
プラットフォームを提供


 個人会員は、男性が61%、女性が39%。どちらも20代後半が多い。1日のアクセス数は、平均で250-300万ページビュー。そのうち平均2-3万件の取り引きが行われている。

 ビッダーズのアクセス数と取引数が高い要因としては、「さまざまなプロバイダーやポータルと提携していることも要因」と強調する。

 同社では、立ち上げ当初から提携するソネットやイサイズをはじめ、ニフティ、ビッグローブ、ライブドア、ライコスグーなどのISPやポータルサイトと提携し、ビッダーズのプラットフォームを提供している。提携企業数は約40社で、カバー率が国内インターネットユーザーの7割以上を占めているという。

 大手プロバイダーやポータルサイトとの提携は、オークションサイトで問題となる「安全性・信頼性」を確保することにもつながった。

 また、オークションサイトに抵抗があるネットユーザーを会員として開拓するために、全国のリサイクルショップ3000店舗と中古品を処分したいユーザーをつなぐ「おいくら」を昨年2月から提供している。

 サービス内容は、「見積もりサービス」と「中古ショップ検索サービス」の2種類。

 「見積もりサービス」では、ユーザーが家庭・会社の不要品など処分したいさまざまなアイテムをインターネット上に登録することで、各登録リサイクルショップから見積りを取ることが可能。見積り価格やリサイクルショップの場所などの条件で各ショップの比較を行い、ユーザーが最も納得できるショップを簡単に見つけることができる。

 「ショップ検索サービス」は、3000店舗のリサイクルショップを、場所、商材などの条件から検索できる。

 「おいくらは、ビッダーズとシステム的に連動しているわけではないが、さまざまなユーザー会員を獲得できるメリットがある」という。

 今後の展開に関しては、サイトの使い易さを追求していく。「初心者ユーザーでも簡単に使いこなせるサイトにする」と意気込む。

 また、アライアンスを強化し、さらに集客力を高めていく方針。「地域に密着したコミュニティサイトとの提携なども図っていく」と意欲を燃やす。

 インターネットオークション市場については、「ビッダーズのオークション会場では、初めてビッダーズを訪れて、品質が高く、しかも低価格の製品を落札できた場合に、繰り返し訪れるようになる。ブロードバンドの普及にともない、インターネットのインフラになるだろう」と分析する。

 今年度は、会員数が法人も含め約100万会員になる見通し。来年度は約150万会員を見込んでいる。(佐相彰彦)

COMPANY
ディー・エヌ・エー


DATA: 南場智子代表取締役兼CEOと川田尚吾取締役兼COOの2人で、1999年3月4日に設立。当初は有限会社だったが、同年8月に株式会社に組織変更。10月には、ソニーコミュニケーションネットワークとリクルートが出資し、資本金が1億5000万円となる。現在は、資本金が16億2000万円、従業員が約60人にまで増えている。

 99年11月29日にオークションサイト「ビッダーズ」のサービスを開始した。01年5月に共同購入と法人向けサポートサービス「クラブビッダーズ」を開始することで、オークションサイトに加え、企業間の取引サイトとしての認知度も向上する。

 ビッダーズの会員数は、個人が約95万人、法人が約1万5000社。今年度は法人も含め約100万会員、来年度に約150万会員を狙う。
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外部リンク

http://www.dena.ne.jp/