IPOとは企業が株式市場で自社の株式を公開することだが、一般的には増資をともなって新たに株式を発行する。公募増資にともなう新規の株式発行を公募株と呼ぶ。未上場段階で行ってきた増資は第三者割当増資などと呼び、将来的な安定株主となる取引先企業や銀行、個人、またはベンチャーキャピタルなどの投資家が主な出資者となる。未上場企業に投資してきた投資家はその企業がIPOすることによって、保有している株式を市場に放出(売出)することができるため、企業価値の高まった時価(株価)での売却にともない大きな利益を得ることができる。

 公募と売出の違いを簡単に言うと、公募は増資にともなって発行される新しい株式であり、売出とは既存株主が利益を確定するために放出する株式となる。IPO時に、公募株数を大きく上回る売出株数のある企業も珍しくはないが、こうした企業のIPOは投資家から敬遠される傾向がある。なぜなら、これからリスクを取りにいく一般の投資家が、利益を確定する投資家の株式を大量に引き受けることになるためだ。

 新たに有価証券を発行するIPO企業などのことを証券業界内では発行体と呼ぶ。発行体の株式を引き受ける証券会社の代表が主幹事証券。付随する販売証券を幹事証券と呼び、1つの案件に名を連ねる証券会社を総称して引受シンジケート団(略称:シ団)などという。

 IPOは大きく分けると、「発行体」、「引受証券」、「投資家」という三者の利害関係で成り立っている。売出株数が多いというのは発行体のメリットであり、公募売出による資金調達額の大きい案件では、手数料収入のある証券会社のメリットが大きくなる。投資家メリットはほかの二者のメリットに相殺される傾向があり、例えば株式市場の低迷などで発行体に不利な条件が整ったとき、投資家メリットは総じて大きくなる。

 相場環境の変化は早く、それぞれの立場で想定したメリットを享受できないこともあるため、売出株については今年になってオーバーアロットメントという新しい手法を取り入れるケースが出始めた。

 主幹事証券が、株価の動向を見ながら弾力的に売出株数を追加していくことで、発行体の既存株主と引受証券のもつリスクをヘッジすることができる仕組み。過熱しやすい上場日の初値形成をスムーズにする効果もあり、メリットはケースバイケースとなる。

 IPO投資の成否を決めるのは、この三者の利害関係のバランスを読み取ること。また簡単にチェックできる項目として公募と売出の株数比較がある。発行体や既存株主の意図を投資判断として活用することが必要だ。