国土交通省が導入・普及をめざしている公共事業の電子入札システムが、大幅に見直されることになった。今回の見直しは、国土交通省が地方公共団体への普及をめざしている「電子入札コアシステム」のアーキテクチャや開発体制、さらにシステム提供費用など多岐にわたる。昨年11月に電子入札システムの運用を開始したばかりにも関わらず、大幅な見直しを行った素早い対応振りに、地方への普及に向けた国土交通省の並々ならない意欲が伝わってくる。電子入札システムは、国土交通省の委託で外郭団体の日本建設情報総合センター(JACIC)と港湾空港建設技術サービスセンター(SCOPE)で96年から開発が進められてきた。

 まず直轄公共工事(年約4万件)を対象に電子入札を導入するために「国土交通省システム」を開発。引き続き、地方公共団体の公共工事(年約40万件)向けに提供するための「電子入札コアシステム」を開発することになり、昨年7月、NEC、富士通などのITベンダー10社を正会員に、地方公共団体を特別会員とした共同開発機構「電子入札コアシステム開発コンソーシアム」を発足させた。しかし、昨年11月に国土交通省システムの運用が実際に開始されると、受注者側の建設業者や、将来的に導入を検討している地方公共団体からシステムの問題点を指摘する声が相次いだ。すでにBCNでもレポートしたように、国土交通省システムに対して「地方公共団体が利用するには重過ぎて使いづらい」とか、「導入費用が高すぎる」といった厳しい批判もあった。

 さらに、技術革新の激しいIT分野において、JACICを中心に開発された電子入札システムが価格や性能などの面で果たして最適なものと言えるのか、最先端技術へのアップデートも適切に行えるかどうかも疑問視する声も出ていた。電子入札コア開発コンソーシアムでも、そうした利用者の声をもとに検討を行った。その結果、国土交通省システムはサーバーのOSをUNIXに限定してCGIを利用しているため、(1)今後の技術革新への追随が困難、(2)汎用性の高いインターフェイスの提供も難しい、(3)クライアント側もJavaアプレットが大型化してシステムが重たくなっている――と結論付けた。

 電子入札コアシステムには当初、国土交通省システムのアーキテクチャをそのまま利用する予定だった。それを取りやめ、新アーキテクチャに切り替えることを決めたわけだ。新しいアーキテクチャの最大の特徴は、OSにLinux、ウィンドウズNTを加えるなどマルチプラットフォームとした点だ。「UNIXベースでは、システム開発コストを下げるにも限界がある。地方公共団体向けには安い費用で導入できるプラットフォームを用意する必要があると判断した」(JACIC電子入札コアシステム開発コンソーシアム事務局)。

 さらにサーバー部分のアーキテクチャに“フレームワーク”という考え方を取り入れて、地方自治体が必要に応じて改良を加えやすいカスタマイズ部分(バウンダリ層)と、バウンダリ層に影響を与えずに機能強化などを行うことが可能なコア部分(ビジネスロジック層)に分けている。