「インターネットマンション」とは、どのようなマンションのことを指すのだろうか。2年ほど前から、インターネット接続環境のブロードバンド化が進む中で、インターネットを“売り物”にした、いわゆる「インターネットマンション」と称する物件が続々と販売されるようになっている。しかし、一口にインターネットマンションと言っても、その内容や仕様はマンションデベロッパーによってまちまちだ。購入者が「インターネットマンション」であれば備えているのが当然とイメージしている機能がサポートされていなければ、トラブルを引き起こす懸念もある。国土交通省はこのほど、総務省・経済産業省の協力を得て、新築マンションの情報化の基本的な考え方をまとめた「インターネットアクセスの円滑化に向けた新築共同住宅情報化標準」を策定した。

 この標準で明確化した機能は、いわゆる「インターネットマンション」の共通定義と言えるものであり、今後のブロードバンド時代のマンションであれば最低限備えているべき機能であるとも言える。「標準には、インターネットのスピードが10Mbps以上といった具体的な数値は書き入れなかった。ITの技術革新スピードがあまりに早く、数値を入れてもすぐに陳腐化してしまう懸念がある」(国土交通省住宅局・塚田夕子氏)。標準が対象としているマンションは、住棟または団地単位で、「常時接続による高速・超高速インターネットアクセス環境」を享受できるように、住棟内ネットワーク配線を通じた接続環境を整備したもの。一般的にほとんどの新築のインターネットマンションは、共有部分に住棟内ネットワーク配線を設置するため、今回の標準の対象となる。

 標準は4つの柱で構成されている。(1)電気通信設備の仕様=定額での常時接続環境の確保、将来の機能更新への対応が容易、ネットワーク接続端子を主な居室全てに配置(2)サポート体制=居住者が利用しやすい接続サービスの選択、ヘルプデスクの設置(3)管理=日常の維持管理、セキュリティ対策、分譲住宅における適切な規約の整備(4)情報提供=広告、契約、引渡しの各段階で入居予定者に必要な情報を提供4つの柱のうち、(1)のポイントは機能更新。住棟内ネットワーク配線が直接、コンクリート躯体に埋め込まれているのでは対応ができないわけで、配管内にネットワークが敷設されていることを想定している。

 また、(4)では当初計画段階では設備の仕様やサービス内容などが確定していないことや、ITの進歩が早いために最終的に引渡たされる段階で変更されるケースがあることを想定。それぞれの段階できちんと情報提供が行われる必要があるとしている。今回の標準策定にともなって、マンションの標準管理規約の改正は行わないが、標準の解説書に記載事例という形で書き加えて明示する。すでに解説の作成を進めており、今月24日に標準の策定にかかわる業務を受託した財団法人ベターリビングが主催するフォーラム「情報化時代の住まいと暮らし」のなかでも、記載例などの具体的な説明を行う予定だ。

 すでに、ベターリビングでは、独自にインターネットマンションの評価制度をスタートさせており、居住者にわかりやすい情報提供をめざしている。今回は新築マンションが対象だが、問題は約400万戸のストックがある既存マンションの方だ。既存マンションでは、今回の「標準」をベースに拡張した既存マンション向け「標準」のほかに、接続環境を改善する時に居住者の合意形成を円滑に行うための「合意形成マニュアル」、改修工事などを行う場合の「技術指針」の2つを追加して策定する予定。四月から具体的な作業に着手して、今年度中には3点セットを完成させる計画だ。