24時間どこからでも申請、届出、施設予約などの行政手続きが可能となる電子自治体――。2005年度からの本格運用をめざして、昨年度から手続きの汎用受付システムを構築するための3年計画の電子自治体推進パイロット事業がスタート、初年度の実証実験報告書が5月初旬に公表された。「使い勝手の面でレスポンスが遅く、画面展開にも時間がかかるといった声もあったが、アンケート調査では汎用受付システムのサービスを利用したいとの回答が75%と高かった。窓口が閉まった夕方5時以降の利用件数も比較的多く、サービスニーズは高いと言えるだろう」(総務省自治行政局地域情報政策室・瀬脇一課長補佐)。

 パイロット事業の目的は大きく2つある。第1には、地方自治体で電子申請システムの導入を促進していくうえで、町村などでは個別対応が難しいと考えられるため、システムの標準仕様を固めること。第2の目的は、町村などの負担を軽減し、24時間365日のサービスを実現するために、ASPサービスの可能性を探ることだ。標準仕様については、今回の実証実験を受けて、内閣官房IT担当室が事務局を務める自治事務等オンライン化推進関係省庁連絡会議から、総務省が中心となって作成した「地方公共団体における申請・届出等手続に関する汎用受付システムの基本仕様」が3月に公表されたばかり。「今回の仕様はいわゆる“バージョン1.0”で、今後2年間の実験を通じて仕様を拡充していく」という。

 ASPサービスは、24時間サービスを実現するためのシステムサポートの負担を考えれば、県単位で市町村がまとまるのは現実的なやり方だと言える。今回の実験では、(財)地方自治情報センターにサーバーを設置して、地方自治体を結ぶ専用通信網「LGWAN」で実験参加の自治体を結んでサービスを提供した。実験に参加した自治体は、いずれもLGWANを導入済みのところで、深川市(北海道)、葛尾村(福島県)、浦安市(千葉県)、横須賀市、藤沢市、小田原市(神奈川県)、大垣市(岐阜県)、岡山市(岡山県)の8団体。「参加団体からは、文書形式や業務フローの標準化にも効果があるとの声があった。システム導入を機に業務のやり方を見直すことも重要だろう」

 報告書ではサービスを受ける住民・企業側の費用効果として、参加8団体合計で1年間に45億円との試算を公表したが、ある意味で電子自治体の最大の効果は行政手続きの見直しにある。今年度の実証実験で最大のテーマは、事務手数料などの電子納付である。民間金融機関が構築を進めている「マルチペイメントネットワーク」を利用して電子納付できる仕組みを構築する計画で、国レベルでも財務省が04年1月の稼動をめざして準備を進めている。「マルチペイメントネットワークと接続してサービスを提供できるのは、現時点ではみずほ銀行だけ。8団体は、いずれもみずほ銀行を指定金融機関としていないので、今年度は新たに東京・三鷹市にも参加してもらって実験を実施するよう準備を進めている」