元気印のインテグレータ

<元気印のインテグレータ>第3回 アイ・シィ・アール(上)

2002/07/15 16:04

週刊BCN 2002年07月15日vol.949掲載

AS/400からオープンへ

 これまでのAS/400の資産をすべてオープンにつくり直す――。

 アイ・シィ・アール(ICR、井本裕順社長)の改革は、既存のAS/400の業務アプリケーション資産をオープン環境に刷新することから始まった。

 1981年の創業から21年間、IBM1次特約店になって12年間、AS/400(現eサーバーiシリーズ)一筋で業務ソフトをつくり続けた。

 独自に開発した製造および流通業向けの業務アプリケーション「レクサシリーズ」やパソコン端末からAS/400を操作するためのエミュレータの開発では定評がある。

 だが、本家のIBMでも、eサーバーiシリーズ(AS/400)のオープン対応を強調し、サービスカンパニー化を推し進めている。販社のアイ・シィ・アールとしても、IBMのハードを担ぐ一方で、自前の業務アプリのオープン化へ必死に取り組む。

 同社がここ1-2年間、オープン化への移行に向けた基礎的な開発投資額は、累計1億円に達する。加えて、今後3年間に5億円を投資することで、UNIXをはじめとするオープン環境への移行、Javaに書き換える作業、新規の統合基幹業務システム(ERP)やASP(アプリケーションサービスプロバイダ)サービスの開発を進める。

 資本金7100万円、昨年度(02年3月期)売上高15億円、経常利益1億8000万円の同社にとっては大きな投資である。

 井本社長は、「当社の開発したAS/400用業務アプリ『レクサシリーズ』は、10年以上売れ続けている定番商材だ。だが、今後10年間成長し続けるには、オープン化とJava化は必須。体力のある今だからこそ、次の10年間を見据えた開発投資が必要」と判断した。

 「幸い、当社は4期連続で経常利益を合計6億5000万円積み重ねており、投資には十分耐えられる。兵庫県姫路市の本社は自社ビルで、大きなサーバーを使ってじっくり研究できる環境もある」と、投資環境が整っていることを強調する。

 開発の柱は、(1)流通、製造の業務アプリの開発ノウハウを活かし、オープン環境で使えるERPパッケージを開発する、(2)個別のプログラム開発が要らない“プログラムレス”の業務アプリの仕組みを開発する、(3)ASPサービスを提供するインターネットデータセンタ(iDC)を開設するなどである。

 次号では、具体的な開発内容を紹介する。(安藤章司)
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