大航海時代

<大航海時代>第22篇●新しき勇者たちへ 第52話 とにかく、規制廃止

2002/10/07 16:18

週刊BCN 2002年10月07日vol.960掲載

 小泉内閣は一生懸命やっている。それはよくわかるのだけど、どうもその方向が基本的に間違っているように感じられる。構造改革というのは、弱者の退場を促すことではない。新しき起業を生み、新しい活力を発することである。

大阪電気通信大学 副理事長 水野博之

 小泉内閣は一生懸命やっている。それはよくわかるのだけど、どうもその方向が基本的に間違っているように感じられる。構造改革というのは、弱者の退場を促すことではない。新しき起業を生み、新しい活力を発することである。

 その過程で、弱者はひとりでに消えていくものだ。ところが新しい創造がないままに破壊が行われると、社会は「縮小均衡」へとスパイラル状に落ちていく。今、どうも日本がそうなりつつあるように思われる。

 株価は今、そのことを予測している。連日のようにテレビで評論家たちは、ここが駄目だ、あそこが駄目だ、と喚き散らしている。それほど日本は駄目なのかね。子供でも、ここが悪い、あそこが悪い、と言い続けられれば、本当に駄目な子になってしまう。どうも国を挙げてその方向に行っているのではないか。子供を元気づけるには駄目だ、駄目だ、ではなくて、良いところを褒めて伸ばしてやることが肝要であろう。社会だって同じことだ。

 明日にでも日本が潰されるような話を毎日聞かされれば、皆、不安になって財布のひもを締めるのは当たり前のことで、この資産1400兆円をもつ世界一の資産家が金を使わないから景気は悪いのである。あのバブルの絶頂期には猫も杓子も踊り出て、土地や家を買いあさったものだ。そこまでいかなくても、皆が多少でも金を使おうか、という気になれば景気は良くなるのだ。

 首切りや企業整理が構造改革なんてのは本末転倒である。では大盤振舞をして景気は良くなるか?断じて否だ。命の迫っている病人には百薬効はない。老人を若返らそうなんて土台無理なことだ。ここは今までの慣例を投げ捨てて、新しい起業、新しい活力を創生するべく動くことだ。その基本は「規制廃止」だ。早くやらんかい。もう言うのも嫌になってきた。(板垣退助邸にて)
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