前号からITベンダーの戦略や取り組みを通し、中小企業のIT市場の可能性を見ている。その前号では複写機メーカーの潜在能力を指摘したが、今回は「中小企業のIT化を支援するリーディングカンパニー」を自認するオービックビジネスコンサルタント(OBC)を取り上げる。

 OBCの業績が良い。10月末に発表された2003年3月期の9月中間決算によると、売上高は前年同期比13%増の60億5000万円、営業利益は同34%増の26億4000万円となった。前期は一時的に業績の伸び悩みを見せたが、IT不況の中でも高収益を再び実現する。

 好調の要因は業務ソフト「奉行新ERP」に負うところが大きい。同製品はパッケージベースながらカスタマイズが可能で、幅広いニーズに応えられる。99年9月の発売から導入数は累計1500社を超え、この種の製品としては異例の販売数量を誇る。特に01年後半から伸びが著しい。OBCの既存顧客層より規模の大きい企業の採用も増えているようだ。

 ただ、OBCが高い利益率(中間期で営業利益率44%)を維持しながら、売上高を順調に伸ばしたのは、「中小企業フォーカス」がブレていないからだ。OBC幹部がこう語る。

 「新ERPは最近、SAP・R/3などと競合するケースもあり、1億円を超える案件も出てきたが、決して喜ばしい傾向ではない。それよりも3000万円の案件を4件こなす方が効率は良い。意識して大型案件は狙うことはない」

 何を意味するか。大規模なソリューション案件は一見格好は良く、ベンダー(製品)の力量を誇示する材料となるが、ビジネスとして見れば、必ずしも収益性は高くない。「大規模案件では、開発やサポートに多大な人員を取られる」(OBC幹部)からだ。

 例えば、独SAPの02年第3四半期の営業利益率は16%でしかない。OBCは意識的に受注額の大きい案件を狙わず、効率の良い中小企業向けセミパッケージ需要に力を入れている。

 一般に「中小企業の市場は儲からない」とよく言われる。確かに、ローエンドの製品やサービスにはそれが当てはまる。だが、その市場にもスイートスポットはあり、それは大企業市場以上の魅力がある。OBCはいち早くその鉱脈を見つけ出し、モノにしたと言えそうだ。