情報処理振興事業協会(IPA)は、今年4月から稼働している情報システムの構築過程、問題点などをまとめた書籍「組織の電子化<この失敗を活かせ!> 電子政府・自治体構築に携わる皆様へのQ&A集」(コンピュータ・エージ社刊)を発行した。その狙いはどこにあったのか。実際にIPAの電子化プロジェクトに携わった田居久生・総務部システム管理グループグループリーダーに聞いた。

自らの情報化体験を公開

 ――タイトルに「失敗」と入った書籍を上梓した狙いは。

 田居
 IPAでは2000年11月から業務改革を行い、社内システムの電子化を行うプロジェクトがスタートし、今年4月から実際に新システムが稼働している。業務改革、電子化を推進していく上でどんな問題が出てくるのか、IPAが自ら進んでモルモットとなることも必要と、業者との交渉などの過程も含めて公開した。

 現在、電子化に取り組んでいる地方自治体は多いと思うが、その担当者にとって参考になるものを目指した。

 ――IPAにはITの専門家が多いはず。それでも「失敗」は起こるのか。

 田居
 確かにITリテラシーという面では、政府や自治体より高いといえるかもしれない。00年11月にできた「業務改革推進対策室」はIPAの理事長がトップとなって、6人の専任担当者体制でスタートした。そのうち3人はITベンダーからの出向と、ITの理解度は高かったと思う。それでも「失敗」は起こった。

 ――組織のトップが情報化プロジェクトのリーダーになることが必要という指摘は多くの人がしているが。

 田居
 確かにトップがプロジェクトを先導することは必要だ。IPAの場合、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)と情報化を同時に行ったので余計にそうだった。現場からは反発も起こるし、さまざまな意見も飛び出してくる。これに対し、明確な決断を行う裁量がある人間が情報化を進めなければ、プロジェクトは進まない。権限をもった人間が情報化プロジェクトのリーダーになるのは絶対に必要だ。

 プロジェクトに関わるスタッフのITスキルとしては、情報処理技術者試験の「初級システム・アドミニストレーター試験」のレベルが妥当ではないか。ただし、これは資格者でなければプロジェクトに関わることができないという意味ではない。私自身も資格をもっているわけではない。ただ、実践的に必要なヒューマン・インターフェイスの設計、業務改善に必要なシステムの思考能力を求める試験なので、参考書に目を通すだけでもプラスになると思う。

(三浦優子)