ディザスタ・リカバリ指南

<ディザスタ・リカバリ指南 ~9・11からの教訓~>11 ディザスタ発生時の復旧

2003/03/17 16:04

週刊BCN 2003年03月17日vol.982掲載

 前回の“ディザスタの防止”に続き、“ディザスタ発生時の復旧”について、その具体的な内容を紹介する。ディザスタ発生時の復旧や事前対策には、大きく分けてダメージを受けたサーバーやアプリケーションを迅速に復旧するための“ノードリカバリ”と、サーバーが稼働している拠点全体の活動を維持するための“サイトリカバリ”の2つがある。

 今回はバックアップソフトを使ったノードリカバリについて紹介する。“ディザスタ発生時の復旧”といってすぐに思いつくのが、ダメージを受けた状態から、迅速に復旧させるためのバックアップとリストアの手法として、一般的なバックアップソフトの“ディザスタ・リカバリ機能”であろう。コンピュータ・アソシエイツの「BrightStor ARCserve Backup(ARCserve)」などのバックアップソフトウェアは、ノード単位のディザスタ・リカバリ機能を提供している。

 通常の“データ”のバックアップでは、マシンが起動できないようなダメージを受けてしまった場合、データをバックアップメディアから戻す前に、OSや各デバイスのドライバ、パッチ、アプリケーションなどの再インストール作業といった煩雑な手作業が必要となる。ディザスタが発生した際には、リストアまでに時間がかかり、作業ミスも起こりやすい。

 バックアップソフトウェアのディザスタ・リカバリ機能を使用して、データだけでなく、OSのシステムファイルやアプリケーションなどサーバー全体のバックアップを取得しておけば、ディザスタからの復旧時においても、安全かつスピーディにサーバーを復旧することができる。ディザスタ・リカバリを行うには、完全なフルバックアップを行うが、システムによってはサービス・デーモンやデータベースなどフルバックアップの妨げになるアプリケーションを一旦停止しなければならないことが多く、いつでもバックアップを取得できるとは限らない。

 しっかりとディザスタ・リカバリ用のバックアップをとるには、サーバーの計画停止時間帯を設けるなど、運用面での工夫が必要となる。また、フルバックアップメディアを含む復旧キットは、火災などの災害があっても失われないよう、耐火金庫などに保管したり、外部拠点に輸送したりするなど、物理的な保護が必要である。(コンピュータ・アソシエイツ テクノロジー ディビジョン コンサルティングディレクター 宮下 毅)
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