WORLD TREND WATCH

<WORLD TREND WATCH>第152回 インテル、ホワイトブレード参入

2003/04/14 16:04

週刊BCN 2003年04月14日vol.986掲載

 IBMはインテルIA-32ベースのブレードサーバー「BladeCenter」を日本を含め全世界で発売している。この技術はIBMとインテルの共同プロジェクト「ハンプトン(Hampton)」で開発され、両社は自由に同技術をビジネスに活用できる。インテルは2003年3月、ハンプトン技術を使ったホワイトボックスのブレードサーバーを米国SIerに提供する計画を公表。ホワイトボックスパソコンは、米SMB(中小企業)市場でデルコンピュータのシェアを上回るまでに普及した。(中野英嗣●文)

IBMとの共同開発技術を活用

 IBMはインテルIA-32ベースのブレードサーバー「BladeCenter」を日本を含め全世界で発売している。この技術はIBMとインテルの共同プロジェクト「ハンプトン(Hampton)」で開発され、両社は自由に同技術をビジネスに活用できる。インテルは2003年3月、ハンプトン技術を使ったホワイトボックスのブレードサーバーを米国SIerに提供する計画を公表。ホワイトボックスパソコンは、米SMB(中小企業)市場でデルコンピュータのシェアを上回るまでに普及した。さらに、ホワイトボックスサーバーの人気も急上昇中で、米SIerの60%近くがこれを組み立てているとの報告もある。インテルはホワイトボックス人気はパソコン、IAサーバーに続いてブレードにも飛び火すると予測。インテルはホワイトボックスのプロセッサでAMDと熾烈な競合を展開しており、新しいブレードサーバーのプロセッサ市場では寡占化を図るチャンスがあると考えている。

 IBMディストリビューション・チャンネル・マネジメント副社長、フランク・ビタグリアーノ氏は次のように語る。「インテルがブレードサーバーで、ホワイトボックス市場に注目しているのは承知しているが、これがIBMの同市場への興味を示唆しているわけではない。ホワイトボックスは大市場だがIBMの中核ビジネスではない」。IBMはデルがホワイトボックスに参入した直後から、デル戦略を研究し始めていた。しかし、IBMはデルを追いかける戦略はとらず、むしろ逆に自社ブランドでのソリューション拡充に力を入れた。IBMはこの理由を「安易にホワイトボックスに参入するよりは、IBM技術をユーザーソリューションにきちんと組み込む方がITコストが削減できると判断したからだ」と説明している。

 多くの米SIerはサーバー分野でブレードが普及するのは当然だと考え、ホワイトボックス組み立てを研究している。しかし、ブレードは難しい技術が要求され、簡単には参入できない。このため多くのSIerはインテルの「ホワイトボックスブレード」に大きな期待を抱いている。とくにインテルはハンプトンで開発したシステムマネジメント、高密度技術、クーリング技術がホワイトボックスのキーになると考えている。IBMはこれらの技術をIBMロゴなしの条件でインテルが出荷することを了解した。

 現在、世界市場ではパソコン以上にIAサーバーの価格デフレが激しく、SIerの利益を圧迫。このため、価格レンジの比較的高いブレードでホワイトボックスを提供したいSIerは多い。多くの米SIerはホワイトボックスブレードのマーケティング活動を開始した。有力ホワイトボックスビルダーであるテキサスネットのアン・キルヒ社長は次のように語る。「わが社はホワイトボックスのブレードは極めて魅力的ビジネスだと考えている。このため、インテルとブレードを組み立て販売するための課題を共同で検討しており、結論は03年4月に出す」
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