テイクオフe-Japan戦略II IT実感社会への道標

<テイクオフe-Japan戦略II>8.総務省の来年度概算要求

2003/09/22 16:18

週刊BCN 2003年09月22日vol.1007掲載

 「日本発の新IT社会の構築」――。総務省は、e-Japan戦略IIを受けて取りまとめた来年度予算の概算要求で、IT政策の方向性をそう掲げた。世界的にみて日本が強い、携帯電話などの携帯端末、情報家電、デジタルテレビ、IPv6などの製品や技術を生かし、世界を先導するIT政策を展開、新しいIT社会のモデルを発信していく。その強い決意を表現したものだ。(ジャーナリスト 千葉利宏)

新IT社会のモデル発信へ

 総務省では、1980年代から情報通信分野において競争政策や標準化などを積極的に展開し、先のe-Japan戦略で掲げられたインフラ整備目標も前倒しで達成してきた。ブロードバンド加入者数も1000万の大台を突破し、世界2位の韓国に肩を並べつつある。携帯電話のインターネット対応率は80%弱で世界トップだ。

 「2005年に世界最先端のIT国家を実現するためにも、情報通信インフラを高度化する一方で、本格的に利活用を拡大する段階に入った」(田中栄一・情報通信政策局総合政策課長)。e-Japan戦略IIでも、ITの利活用が明確に打ち出されたが、総務省では日本の得意分野を生かしたアプリケーションの開発を促進すると同時に、それらのアプリケーションと情報通信インフラをいかに有機的に連携させていくかに重点を置いていると言える。

 「これまでネットワークにつながっているのはパソコンが中心だった。これからは、パソコン以外のものもどんどんネットワークにつながっていく“脱パソコン”が進展するのではないか」(田中課長)。

 パソコンの接続台数が少なくなるわけではなく、ネットワーク全体から見てパソコンも端末のワン・オブ・ゼムになっていくという意味である。総務省のネットワーク戦略は、インターネットの普及とブロードバンド化を推進する一方で、携帯端末、情報家電、デジタルテレビなどあらゆるものがネットワークに接続され、多種多様なアプリケーションが動くことを想定して、次世代ネットワークの基盤整備を着実に推進してきた。その柱の1つが、“いつでも、どこでも、何にでも、つながるネットワーク”として、すっかり言葉も定着してきた「ユビキタスネットワークの実現」。もう1つが、いよいよ今年12月から開始される地上波デジタル放送で本格化する「放送ネットワークのデジタル化」だ。さらに、ネットワークに接続される端末が飛躍的に増加することを想定した次世代インターネット技術「IPv6」にも積極的に取り組んできた。

 IT社会が進展するなかで、これら次世代ネットワークへの移行は、どのように進んでいくのだろうか。田中課長は、「2010年までにはネットワークの高度化が進み、その利用が本格化した全く新しい社会が実現しているだろう」と予測する。今年スタートする地上波デジタル放送によってアナログ放送を停止するのは2011年を予定しているが、それまでに放送のデジタル化が完了しているだけでなく、IPv6も本格的に普及し、ユビキタスネットワークが実現しているとのシナリオだ。また、2010年ごろには、携帯電話でも第4世代機が実用化されているだろう。今後7-8年の間に、ネットワーク基盤の技術革新がさらに進み、高度化されるのは間違いない。これらの高度なネットワークを使いこなすことができるかどうかが「世界最先端のIT国家」であり続けるための鍵を握っている。

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