多様化するセキュリティビジネス 各社の戦略を追う

<多様化するセキュリティビジネス 各社の戦略を追う>7.シマンテック

2003/09/25 20:43

週刊BCN 2003年09月22日vol.1007掲載

 シマンテックのビジネスを、個人向けと法人向けに分けると、売上比率は個人向けが全体の約6割、法人向けが約4割。個人向けビジネスを得意とすることが、同社の強みでもあり、弱みでもある。

エンタープライズ事業を強化

■自社開発のみの製品ラインアップに強み

 個人向け製品の数は、トータルセキュリティソフト「Norton(ノートン) Internet Security」を中心に、ユーティリティソフトなどを含め15種類と、競合他社を圧倒する。「BCN AWARD」でも、セキュリティソフト部門で最優秀賞を2年連続で受賞するなど、個人向け市場では確固たる地位を築いている。

 そんな同社の課題は、企業向けビジネス。ここ数年、「企業向けビジネスを強化し、(個人向けと企業向けビジネスの)売上比率を逆転させる」(成田明彦会長)ことを飛躍のカギとし、企業向けビジネスの強化に取り組んでいる。

 企業向け製品も個人向け同様、カバーしているジャンルは広い。「ファイアウォール・VPN(仮想私設専用網)」、「ウイルス対策・コンテンツフィルタリング」、「ポリシー監査・脆弱性検査」、「侵入検知」、「システム管理」、「統合型セキュリティ」の6カテゴリーに分け、23製品を軸に展開している。各種セキュリティ対策をほぼ網羅するラインアップを揃えており、中でも「ウイルス対策・コンテンツフィルタリング」関連製品は10種類と豊富だ。

 競合他社が、他のセキュリティベンダーとのアライアンスや企業買収などで製品やジャンルを広げているのに対し、シマンテックの場合、「すべて自社で開発している」(野々下幸治・システムエンジニアリング本部長)ことが、大きな強みとなっている。

 「ウイルス対策やファイアウォールに加え、侵入検知システム(IDS)やコンテンツフィルタリングなどの導入が本格化し、企業の情報システムに複数のセキュリティ製品が乱立した時、それらを統合・管理するニーズも必ず増えてくる」

 野々下本部長はそう分析したうえで、「幅広いジャンルの製品を自社開発で揃えていることは、容易に製品を統合・管理できることになる」と強調する。

 同社は、セキュリティ機能を統合するアプライアンス製品を昨年4月に発表したが、自社製品だけでなく他社製品も管理できるツールを用意するなど、トータルセキュリティニーズに対応できる製品ラインアップを着々と築きつつある。(木村剛士)
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